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医療AIで用いられている技術の活用事例
1.はじめに
こんにちは!スキルアップAIの西川です。私は現在、創薬・医学関係の研究室で画像解析や音声認識の研究を行っています。
早速ですが、皆さんは医療AIにどのような技術が使われているのかご存知でしょうか?昨今、ニュースなどで、医療AIという言葉をよく目にするようになりました。ニュースなどでは、医療AIができることや医療AIの将来的な展望は語られますが、医療AIに使われている技術に関して語られることはあまりありません。
そこで今回は、医療AIに用いられる技術の中でもディープラーニングを用いた画像解析に焦点を当て、それら技術の概要と活用事例を紹介していきます。
2.医療AIの事例
本節では、図1に示す3つの事例をご紹介します。
図1. 医療AIの事例
2-1.活用事例1 南アフリカ農村部でのタブレット端末を用いたHIV迅速検査[1]
この事例は、南アフリカ農村部にて、タブレット端末を用いて迅速なHIV検査を実現したものです。
図2. 学習データ収集風景[1]
図2で撮影されているのは、迅速診断検査(Rapid Diagnostic Test; RDT)キットと呼ばれるものです。RDTキットは、最も一般的な診断手段として世界中で使用されています。このキットは安価で手に入るため、今回の対象者である南アフリカの農村部の人々でも容易に入手する事ができます。しかしながら、目視で検査結果を解釈することはとても難しく、その点がRDTキットの課題でした。そこで、検査結果を解釈するための仕組みをディープラーニングを用いて開発しました。タブレットでRDTキットを撮影し、その画像をディープラーニングのモデルに入力し、陰性か陽性かを判定させます。この検査システムにより医師の少ない農村部での迅速な検査が可能となりました。
2-2.活用事例2 YOLOv3とドメイン知識を用いたCT画像の病変部位検出
YOLOはネットワークの特質上、リアルタイムでの物体検出を得意としています。そのため、医療では大腸検査やCT画像検査など多くの場面で応用研究が進んでいます。この活用事例では、CT画像の病変解析にYOLOv3を使用しています。構築したモデルの出力画像例を図3に示します。
図3. YOLOv3が病変と予測した出力画像例[2]
CT検査では、図3のような画像が何千枚も撮影されます。撮影された膨大な画像の中から病変として怪しい箇所を見つけ出すことは、熟練の医師でも非常に時間のかかるものです。この作業をディープラーニングのモデルがサポートすることで、医師の負担を減らすことができます。
2-3.活用事例3 乳房腫瘍検出におけるセグメンテーションの応用
乳がんの早期発見は、世界的に取り組まなければならない重要な課題です。最も一般的な乳がん検査の方法はマンモグラフィです。マンモグラフィとは、乳房専用のX線撮影のことです。撮影画像の例を図4に示します。
図4. マンモグラフィ画像とセグメンテーション結果の例[3]
撮影された画像から腫瘍部位を読み取ることは、専門医にとっても困難な作業です。そこで、臨床現場から得られた撮影画像を学習データとして、セグメンテーションのモデルを開発しました。セグメンテーションのモデルが自動的に腫瘍部位を特定することによって、専門医の診断を支援します。
3.最後に
本ブログでは、医療AIに用いられている技術を紹介しました。医療AIは日々進化しています。これからの医療AIの動向にぜひご注目ください。
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4.参考文献
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