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Azureとは|仕組みやできること・代表サービス、活用するメリットを解説
1.Microsoft Azure(アジュール)とは
Microsoft Azure とは、Microsoftが提供するクラウドサービスで、コンピュータの計算処理やデータ保存などをクラウド上で実現します。2022年第4四半期時点でクラウドサービス市場のシェア第2位を獲得し、全体の23%を占めています。
出典:Canalys「Canalys Newsroom – Worldwide cloud service spend to grow by 23% in 2023」
AWSやGCPとの違い
■AWS
AWS は、Amazonが提供しているクラウドサービスです。世界でもトップクラスのシェアを誇っているだけあって、公開されている情報も充実しています。そして、多くの国や地域で導入されているため、ワールドワイドに利用できます。
また、日本語でのサポートが充実しているので、初めてクラウドサービスを利用するという方にもおすすめです。
他にも、AWSは200を超える豊富なサービス、他製品や多様な分野に対応する汎用性の高さから、他製品と連動して利用したい場合や、豊富な機能を必要とする場合には最適の選択となります。
■GCP
GCPは、Googleが提供しているクラウドサービスです。AI(人工知能)や機械学習のサービス、ビッグデータなどの解析が特に優れており、データ分析や画像分析、テキスト翻訳、音声認識などのAPIが充実しています。
そのため、AIや機械学習関連のサービスを利用したい方や、データを解析したい方におすすめです。しかし、日本語の情報は少ない傾向にありますので、初心者の方にはややハードルが高めです。
【徹底比較】AWS・GCP・Azureの違い|3大クラウドサービスの特徴や料金、シェア率、各AI系サービスを紹介
2.Azureでできること【代表サービス】
ここでは、Microsoft Azureを使ってできることや、代表サービスとその特徴を紹介します。
Azure AI
Azure AI は、Microsoftが提供しているAI(人工知能)を利用できるサービスです。機械学習モデルの構築やデプロイ、ボットサービスの作成などが容易に行えます。Azure AIの機能を用いて音声認識や画像認識などのAI機能をアプリケーションに組み込むことも可能です。
Azure DevOps
Azure DevOps は、開発から運用までのシステムを効率的に遂行するためのツールを提供しているサービスです。Azure上でアプリケーション開発プロセスを実現し、共同作業の効率化を実現します。
機能としては、チームでダッシュボード、カスタム レポートを使用して作業追跡ができる「Azure Boards」や、あらゆる言語、プラットフォーム、クラウドに対応した CI/CD(※)を使用してビルドやデプロイができる「Azure Pipeline」などがあります。
※CI/CD…継続的インテグレーション(CI)と継続的デリバリー(CD)をまとめた表現
Azure Functions
Azure Functions は、面倒なサーバの構築や保守を必要とせずに、コードの実行を可能にするサービスです。これにより利用者はサーバを意識せずにアプリケーションの開発に集中することができます。サポートしているプログラミング言語はC#、Java、JavaScript、PowerShell、Pythonなどさまざまです。
Azure Storage
Azure Storage は、Azure のストレージサービスであり、データをクラウドに保管できます。保存するデータの種類や目的に応じて、Blob、Queue、Table、Files、Disk、Archiveなどのさまざまなストレージサービスが提供されています。
Azure App Service
Azure App Service は、Webアプリケーションの基盤を提供するサービスです。さまざまな言語やフレームワークを使用して Webアプリケーションを作成し、クラウド上でサービスを運用できます。
Azure Active Directory
Azure Active Directory は、アクセス管理のためのサービスです。クラウド上にて会社が提供したIDとパスワードが要求され、そのIDに基づいて自動的にアクセスできるサーバが制限されます。
3.Azureを活用する4つのメリット
Microsoft Azureを活用することで、次のようなメリットがあります。
1. 初期費用がかからない
Microsoft Azureは、AWSやGCPと同様に従量課金制のサービスとなっており、使用した分だけの料金を支払います。利用料金は分単位の従量課金制を採用しています。すべてクラウド上で処理が行われるのでハードウェアの購入などの初期投資も不要で、必要に応じてすぐに使用を開始することが可能です。
2. 拡張性がある
Microsoft Azureを活用することで、Microsoftが提供しているさまざまなアプリケーションやサービスとの連携・移行が可能です。例えば、Microsoft製品であるOffice365やSharePointと組み合わせて利用したり、SQL ServerやOracleなどのデータベースサービスも利用できるため、自社の状況に合わせた柔軟な活用が可能です。
3. 優れたセキュリティ対策が施されている
Microsoft Azureはセキュリティ対策にも力を入れており、多層のセキュリティ対策を実施しています。具体的には、
- コンプライアンスやネットワークセキュリティの強化
- データ保護
- アクセス管理
4. 日本の法律が適用される
一般的に海外企業が提供するクラウドサービスでは、問題発生の場合海外の法律が適用されますが、Microsoft Azureでは日本の法律が適用されます。そのため、問題が発生してもスムーズに対応できます。
Azureを利用する際の注意点
Microsoft Azureを活用する際は、下記の注意点について留意しておく必要があります。
専門知識が必要な場合もある
通常の利用においてはMicrosoft Azureを使うにあたって専門的な知識は特に必要ありませんが、場合によってはサーバやネットワークに関する高度な設定が必要になることがあります。
通信トラブルのリスクがある
クラウドインフラサービスは、インターネット経由で運用や管理を行うので、通信環境に大きく依存します。通信にトラブルが生じたりすると万が一の場合使用できなくなる可能性も考えられます。また、自然災害による障害発生が予測困難であり、復旧に時間がかかることがあるため、注意が必要です。
サービスによってはリソース制限を受ける場合がある
Microsoft Azureでは、利用するサービスによっては制限が設けられることがあります。制限内で利用可能であれば問題はありませんが、制限内で十分に活用できない場合は、サポートに連絡して制限解除を依頼することの検討が必要になってきます。
Azureの導入手順
Microsoft Azureの導入手順を紹介します。3ステップで手軽に導入できます。
①Microsoftアカウントを発行する
Microsoftアカウントをまだ取得していない場合、まずは、Microsoftのアカウントのページにアクセスします。[サインイン] を選択して、「アカウントをお持ちではない場合、作成できます。」の[作成] をクリックします。
「アカウントの作成」画面が表示されるので、画面の指示に従って作成します。
②Microsoft Azureにサインインし、Azureアカウントを発行する
Microsoftアカウントの作成が完了したら、Azureの公式ページにアクセスし、「無料で始める」をクリックし、ログインします。必要な登録情報を入力してアカウントを発行します。
③Azureの管理用ポータルサイトへサインインする
Azureアカウントを作成したら、「Azure Portal」を押して、管理用ポータルサイトへサインインします。
Azureに関する代表的な資格 4 選
Azureに関する知識を体系的に身につけられる認定資格があります。ここでは代表的なAzure認定資格を4つ紹介します。
1. 初級レベル:AI-900
AI-900は、AIエンジニア向けの初級資格です。機械学習や深層学習の概念とそれらに関連するAzureサービスの基礎知識が問われます。この試験に合格すると「Microsoft Certified: Azure AI Fundamentals」の認定を得ることができます。
2. 初級レベル:DP-900
DP-900は、データ管理や分析基盤の設計・構築・運用に携わるデータエンジニア向けの初級資格です。コアデータの概念と、関連するAzureサービスの基礎知識が問われます。この試験に合格すると「Microsoft Certified: Azure Data Fundamentals」の認定を得ることができます。
3.中級レベル:AI-102
AI-102は、AI-100の後継にあたる(AI-100は2021年6月30日に終了)AIエンジニア向けの中級資格です。この試験に合格すると「Microsoft Certified: Azure AI Engineer Associate」の認定を得ることができます。
評価されるスキルだけを見てみると、AI-900とほとんど変わらないように見えますが、AI-102では、各サービスがより掘り下げられて出題されます。
4.中級レベル:DP-100
DP-100は、データサイエンティスト向けの中級資格です。この試験に合格すると「Microsoft Certified: Azure Data Scientist Associate」の認定を得ることができます。
DP-100では、機械学習とXAIの知識、データサイエンスで必要となるPythonライブラリの知識や、Azure Machine Learningの各機能をPythonで実行するためのライブラリ知識などが求められます。データサイエンティスト向けの試験であるため問われるスキルがDP-900と大きく異なります。
AzureやAzure関連資格を学習できるおすすめ講座紹介
ここからはAzureやAzure関連資格のおすすめ講座を紹介します。
Azure AI-900対応 クラウドAIサービス活用講座
「Azure AI-900対応 クラウドAIサービス活用講座」では、クラウドAIソリューションの設計・実装に不可欠なクラウドコンピューティングの基本概念を理解し、それらの基本概念に対応するAzureのサービスを学びます。さらに、Microsoft Azureを用いたハンズオンを通して、クラウドAIソリューションへの理解を深めます。
AI-900の合格に必要なAzure関連知識が効率的に学べるため、試験対策としてもご活用いただけます。
Azure AI-102対応 クラウドAIソリューション実践講座
「Azure AI-102対応 クラウドAIソリューション実践講座」では、クラウドサービスが提供する各種 API を用いて、クラウド AI ソリューションを迅速に設計・実装する方法を学びます。また、Azure Cognitive Services APIをベースとしたクラウドAIソリューションと精度監視の実現方法についても学ぶことができます。
こちらもAI-102の合格に必要なAzure関連知識が学べるため、試験対策としてもご活用いただけます。
Azure DP-100対応 MLワークロード開発実践講座
「Azure DP-100対応 MLワークロード開発実践講座」では、クラウドが提供する各種サービスを用いた機械学習のワークロードの全体像を学びます。また、Microsoft Azureが提供する各種サービスを用いた機械学習ワークロード構築の実装方法も学べます。
DP-900の合格に必要なAzure関連知識が学べるため、試験対策としてもご活用いただけます。
Azureの資格試験一覧|資格の概要や難易度、学習ポイント、おすすめ学習方法を解説
Azureに関するよくある質問
最後に、Azureに関するよくある質問とその回答をピックアップして紹介します。
Azureを活用して何ができますか?
Azureで提供されているさまざまなサービスを活用することで、コンピュータの計算やデータの保存、サーバの構築、セキュリティ強化、AIを活用したアプリケーションの作成などをクラウド上で行うことができます。
Azureの強みは?
Azureの強みは主に下記の3つです。
- Windows365やOneDriveなどMicrosoft関連サービス・商品との連携が可能
- セキュリティに優れている
- 日本の法律が適用されるのでトラブル時の解決がスムーズ
Azureのプログラミング言語は?
Python、JavaScript、Java、.NET、Go など、現在使用されている最も一般的なプログラミング言語がサポートされています。
まとめ
本記事ではAzureをテーマに、
- Azureを使ってできること
- Azureのメリットと注意点
- Azureに関する代表的な資格
- Azureに関するおすすめの講座
クラウドサービスは今後も需要が高まり続け、より重要な役割を担っていくことが予想されます。Microsoft Azureは便利なサービスや機能が豊富なことから、多くの企業で活用されています。
Azureのサービスに興味がある方は、まずはAzureの無料アカウントを作り、一度触れてみてはいかがでしょうか。
本記事でも紹介しているAI-900、AI-102、DP-100などのクラウド系AI資格も含めたおすすめ資格について紹介しているブログも、ぜひ併せてチェックしてみてください。
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