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AIニュースまとめ(6月28日週)
こんにちは。スキルアップの手柳です。
スキルアップAIでは、AIに関するニュースをピックアップし、週間で紹介しております。
今回は、6月28日週のAI関連のニュースを紹介していきます。
◇琉球大、台風の勢力を解析するAIを開発
ニュースリリース:衛星画像から台風の勢力を高精度に推定するAIを開発~理工連携がもたらしたブレイクスルー~
- 台風の勢力を高精度に推定
- 気象学の専門家の視点から解析
琉球大学が、衛星画像から台風の勢力を高精度に推定するAIを開発しました。
台風は世界でも危険な災害とされていて、その強さを正確に推定することは災害対策の上で非常に重要になります。
台風の解析にはディープラーニングが一定の成果を収めており、大量の衛星画像をランダムに分割することで82%の精度を達成しました。
しかし台風の衛星画像は時系列データであり、時系列データをランダム分割してトレーニング、テストを行うと実用時には得られない将来の傾向をAIが学習する「データ漏洩」が発生してしまいます。
データ漏洩を引き起こさないためにはデータを時間で分割する必要がありますが、その場合の予測精度は55%にまで低下してしまいました。
上記の問題を解決するために、今回の研究では2つのアイデアを取り入れています。
1つ目は「ディープラーニングの層を深くする」ことです。
先行研究で用いられていた5層構造に対して、今回は16層に増やすことでより多くの雲のパターンを捉えることができるようになりました。
2つ目は、「気象学の専門家の知見を活かした前処理を行う」ことです。
気象学の専門家が台風の衛星画像を見るときに台風の中心付近の特徴を捉えているという事実から、衛星画像を魚眼レンズ風に加工することで中心付近の特徴を捉えやすいようにしました。
以上の2つのアイデアにより、先行研究の55%の精度から76.8%まで向上させることができています。
近年では毎年のように台風による甚大な被害が出ており、防災AIの研究、活用はどんどん活発になってきています。
こういったAIの研究は単に被害予測に役立つというだけでなく、研究成果がニュースになり発信されることで一人一人の防災意識の高まりにもつながると思います。
◇AIを活用した呼出型最適経路バス、実証運航開始
ニュースリリース:【茨城交通】茨城県高萩市で呼出型最適経路バス 「MyRideのるる」 の実証運行開始
- 高萩市での実証運行開始
- ユーザーのリクエストに合わせて運行ダイヤを最適化
茨城県高萩市内において呼出型最適経路バス「MyRideのるる」の実証運行が開始されました。
呼出型最適経路バスとはAIにより、ユーザーからのリクエストに応じてバスの運行経路やダイヤを最適化して運行するものです。
MyRideのるるでは、ユーザーはアプリか電話で出発場所・目的地を設定すると、AIが自動で最適な乗車場所・降車場所・運行ルート・運行時間を提案してくれます。
乗車場所・降車場所には、既存のバス停だけでなく、「仮想バス停」という標柱がない地点を設定することで、近くにバス停がなくても利用することが可能です。
多数の仮想バス停を利用することで、既存バス停よりも希望場所に近い場所で乗降可能となり、運行時間帯内であれば、利用したいときにバスを呼び出せることもできます。
本サービスは段階的に利用者を拡大し、年度内には高萩市内の既存の路線バス運行エリアのほぼ全域でサービスを利用できるようにするとのことです。
MyRideのるるは中型バスでのサービスですが、小型バスを利用する同様のサービスも多くの地域で実証実験が行われています。
路線バスはタクシーと比べると低価格で利用できる便利なサービスですが、運行エリアの広さ、停留所の数・立地、運行数など不便に感じてしまう点もあります。
今回のようなAIを活用したサービスが普及すれば、利用者も運行会社も効率的にバスを利用できるようになると思います。
関連記事: MyRide のるる
◇レンブラントの「夜警」、AIにより本来の姿に
- 漢字の誤読を減らす
- イントネーションやアクセントの違いも表現
レンブラント「夜警」
(引用元:作品解説「夜警」)
皆さん、上の絵画はご存じでしょうか。
こちらはレンブラントの「夜警」という作品です。
多くの人が美術の教科書などで一度は見たことがあるのではないでしょうか。
実はこの絵画は、本来の姿ではなく欠損していたのです。
なんでも「夜警」が18世紀にアムステルダム市庁舎に移設された際、縦363cm、横438cmという巨大さゆえにスペースに収まりきらず四方を切り取られたそうです。
そのときに切り取られた部分は今でも見つかっていません。
今回、300年の歳月を経て、最新のAI技術を用いた修復作業を行うことで「夜警」は本来の姿を取り戻しました。
切り取られた部分はありませんが、切り取られる前の「夜警」を見て描いた模写が復元の手掛かりとなりました。
しかし、模写は原画よりもはるかに小さく、描画法や色調なども異なっていました。
その模写をAIが解析することで復元に成功しています。
復元プロジェクトの責任者によると、3つのニューラルネットワークを使い、AIには原画と模写の情報を学ばせ比較し、レンブラントの技法を習得した上で、修復作業に取り掛かったとのことです。
その結果修復された「夜警」は表面の細かいひび割れまで再現したといいます。
僕もこのニュースを見て初めて「夜警」が破損していたと知りました。
模写があったとはいえ、失われたものを再現するAI技術には驚かされますね。
ちなみに、「夜警」というタイトルはレンブラントの死後に付けられたそうですが、表面に塗られていたニスが時間経過で黒く見えるようになっただけで、実際は夜ではなく昼間のシーンが描かれているそうです。
おわりに
いかがだったでしょうか?
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今後も、AI関連ニュースの記事を共有していきたいと思います。ご期待ください!
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