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「クラウドAIエンジニア」とは?AzureのクラウドAI資格(AI-100)受験レポート
こんにちは、スキルアップAIの金子です。今回は、クラウドAIとAzureのクラウドAIエンジニア資格の一つであるAI100の習得体験記について、書いてみようと思います。
※本ブログは2020年11月時点のものです。2021年6月末時点でAI-100は終了し、AI-102に変更となっています。
Azureとは|仕組みやできること・代表サービス、活用するメリットを解説
1.クラウドAIが可能にしたこと
すっかり知られるようになった「クラウド」という言葉ですが、AIサービスや機械学習にもクラウドサービスがあることを、ご存知でしょうか。
AIモデル開発の内製化には、かつては専門知識や大量の学習データ、必要な開発環境の構築などのいくつものハードルが存在しました。しかし、今日では各種クラウドサービスが、AIのモデル開発にあたり典型的なタスクを担う機能を幅広く提供しています。これらをうまく活用することで、かつては専門知識があり、開発環境が整っている場所でなければ構築できなかったようなAIサービスの開発を内製することができる時代になっています。
クラウドAIサービスを活用した代表的なサービスには下記のようなものがあります。
画像タスク | 代表的なサービス名 | 活用事例 |
画像タスク |
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言語 |
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音声 |
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意思決定 |
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(出所:Azure Cognitive Services公式ページ;スキルアップAI調査分析より)
このように様々な領域で活用できるAIのモデル構築できるサービスが提供されています。つまり、クラウドサービスを活用してAI開発を行えば、開発工数の大幅な短縮につながり、低コストでAIサービスの検証・運用が可能、ということです。
2.クラウドAIを使いこなせる度合いを測る「資格」がある?!
このように、AI内製化のハードルは非常に下がっている一方で、様々な選択肢の中で「作りたいAIモデルに対して適切なクラウドサービスを選択する」というスキルの有用性が高まっています。クラウドサービスには有名なもので、Amazon Web Servicesが提供するAWS、Microsoftが提供するMicrosoft Azure、Googleが提供するGoogle Cloud Platformなどが存在します。
各社資格を用意していますが、今回は、急速にシェアを拡大しているAzureに興味があり、AI-100というAzureの認定試験を受験してみたので、試験の対策法や試験の前後で自分のスキルがどう変わったのかをレポートします。なお、私の受験時点のスペックは以下の通りです。
- JDLAのE資格を所持し、AIでどんなことができるかは理解している
- AIの応用研究を行っている理系の大学院生
- クラウド初心者(AzureのDBサービスを使ったことがあるが、設計や運用などは知らない)
3.Azure100とは
AI-100の試験概要はこちらです(試験内容については受験時に秘密保持契約を締結するため詳細に書けませんが、ざっくりと紹介します)。
また、こちらから、試験スキルのアウトラインとして受験者に求められるものが閲覧できますが、翻訳すると以下のようになります。
試験の受験者は、cognitive services、機械学習、ナレッジマイニングを使用して、自然言語処理、音声、コンピュータビジョン、会話型AIを含むMicrosoft AIソリューションを構築し、実装するための専門知識を持っている必要があります。Azure AIエンジニアの責任は、AIソリューションの要件を分析し、適切なツールや技術を推奨し、スケーラビリティとパフォーマンスの要件を満たすAIソリューションを設計して実装することです。Azure AIエンジニアは、ソリューションアーキテクトからのビジョンを翻訳し、データサイエンティスト、データエンジニア、IoTスペシャリスト、ソフトウェア開発者と協力して、完全なエンドツーエンドソリューションを構築します。この試験の受験者は、Microsoft Azure Cognitive Services、Azure Bot Service、Azure Cognitive Search、Azureのデータストレージを使用したAIアプリやエージェントの設計と実装の知識と経験を持っている必要があります。さらに、受験者は、オープンソース技術を使用したソリューションを推奨し、Azure AIポートフォリオを構成するコンポーネントと利用可能なデータストレージのオプションを理解し、特定の要件を満たすためにカスタムAPIを開発すべきタイミングを理解している必要があります。
上記は抽象的な記述ですが、具体的な出題分野の内訳は以下のテーブルとなります。
ソリューション要件の分析 | 25-30% |
AIソリューションの設計 | 40-45% |
AIソリューションの実装と監視 | 25-30% |
試験時間・受験料などは下記のようになっています。
試験時間:210分
受験料:21,103円
言語:英語、日本語、簡体中国語、韓国語
形式:複数の選択肢、複数の回答がある問題
実施形式:テストセンター(CBT方式)、自宅受験(COVID-19による特例処置)
(※2020年11月4日現在)
4.一度目の受験では不合格。二度目の試験にあたっての反省と対策
実は私は1回で合格ができず、2回受験をいたしました。700点合格のところ、680点で不合格でした。
なお、試験で不合格になった場合、詳細な配点は知らされません。しかし、詳細な試験で成績の低かったスキル領域3つがレポートとして返ってきます。これを基に対策をしようとしますが、「領域」しか示されていないため、その領域に含まれているものがどういったものかを特定しないといけないという問題があり、ここが、試験対策で意外と苦労した点でした。
例えば、以下の「Design solutions that include one or more pipelines」が成績が低いとレポートに書かれています。情報がこれしかないため、「define an AI application workflow process」+「Azure」でGoogle検索しながら地道に知識の穴埋めをしていくしかありません。
(参照:試験スキルのアウトライン)
このように、項目を1つ1つ検索していきます。自分で足りないものを特定し、自分で学びにいく必要があるため、根気のいる作業でした。
また、「ラーニングパス」とはAzureのクラウドAIサービスの概要と使い方を理解するための、ユニットやモジュールをまとめていったものなのですが、「ラーニングパス」とは、取りまとめてあるもののために概要の概要にすぎず、また、かなりの数があるのです。例えば、「ラーニングパス」としてサービス「Azure Cognitive Services」が規定にある場合、試験に合格するためには、その全体ドキュメントまで読み、実際に使用や運用ができる程度の知識が必要となります。そのため、すべてのラーニングパスに手をつけるのではなく「あたりをつける」などの勘所も必要です(私は一度受けたため、出題された問題からあたりを付けました)。そうしてなんとか二度目の受験をした結果・・・780点で合格でした!
5.資格取得前後のビフォーアフター
試験を経て、以下のことができるようになった、と、実感しています。
- クラウドの概念を学び、Azureの主要なサービスやその特徴を知ることができた
- どの課題に対して、どのAIサービスを提案すれば良いか、判断力がついた
- ハンズオンを通して、クラウドAIを用いて言語翻訳・音声認識などができるようになった
1と2は月並みに見えるかもしれませんが、「知っている」ことで、解決したい課題に対する解決アイディアが浮かぶことも多くあり、「知っている」のと「知らない」のでは、大違いだと思いました。
また3は、「テキストと音声を翻訳する」をラーニングパスで学んだことにより、Azureを活用して言語翻訳や音声認識をするクラウドAIを動かしてみることができるようになったことを指しています。知識を机上で学ぶだけでなく、AI-100の試験は知識をインプットしながらアウトプットすることができるので、せっかく触れることのできる言語翻訳などで柔軟に遊んでみるのも良い経験になると思います。
私は大学院生ですが、ビジネスマンの方であれば、この資格を取得することで、クラウドAIに関し「ビジネスの現場で、最適なAIソリューションを考えることができる」「技術者と話が噛み合う」「お客様からの質問に自ら対応できる」などができるようになると感じました。
6.試験を振り返って
E資格受験の際にも感じたことですが、独学には限界があり、私にとっては最善の方法ではないと感じました。Azureの認定試験は専用の資格対策本などが無く、今回はあたりをつけての再受験で乗り切りましたが、ネットで情報収拾および読み込みをしたり必要なエネルギーは多く、これから受験される方にとっては沼にはまりそうな箇所もいくつあります。
- クラウドAIには興味があるけれど、何を勉強して良いのか分からない
- 時間に限りがある中で効率的に学びたい
- 壁にぶつかった時は、知識のある人に相談したい
- 周りの人と一緒に資格合格を目指したい
という方は、専門の講座(AI-102の講座等)を活用することが近道だと思います。
スキルアップAIの「Azure AI-102対応 クラウドAIソリューション実践講座」では、予習動画によってクラウドの基本的な知識やAzureの各種サービスを学び、対面講座では予習内容を踏まえたハンズオンが中心になっています。当日はハンズオンが中心で、単なる資格対策に留まらず実際の課題に対してどのようにAIソリューションを構築していくのか対処することが実感できる実用的な講座になっています。また、講師がMicrosoftの認定トレーナーかつスキルアップAIの講師であるため、ハンズオンを通じて丁寧に教えてもらうことができる点が魅力です。
残念ながら私が受験したタイミングでは当講座は存在しなかったため、受講することができませんでしたが、私が学習していたときは、ラーニングパスのハンズオンにおいて、理解が難しい部分がいくつかあった際に自己解決をするしかなかったことが難点でもあったので、クラウドとAIの両方に精通したプロフェッショナルに自由に質問ができる環境があれば、効率的に理解することができたと思います。
Azureの資格試験一覧|主な資格の概要や難易度、学習ポイント、おすすめ学習方法を解説
7.終わりに
クラウドAIは、AI導入のハードルだった機械学習分野のエンジニアの専門知識を持たずしてのAI実装を実現するものであり、誰でも簡単に技術活用ができるサービスとしてめざましい発展をしています。AIがクラウドサービスを通してより間近なものになった今、このタイミングで、クラウドAIを活用できるか否かというのは、個人のキャリアやビジネスチャンスの明暗を分けるものではないでしょうか。
まだ知名度がそれほどない技術・資格ではありますが、私もクラウドの知識を今後のキャリアの武器として活用していきたいと思います!
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