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【E資格対策】E資格に合格するための秘訣や勉強方法、新シラバスのポイント
最近、「G検定」「E資格」と呼ばれる資格を取得する方が増えてきました。これらは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する、ディープラーニングに関する知識を証明する資格です。2018年の試験実施以降、2022年3月時点でG検定とE資格の累計合格者は5万名を突破しており、大きな注目を集めています。
その中でもE資格はAIエンジニア向けの資格で、ディープラーニングに関する問題を中心に、実装に関する技術や最新論文の話題など、幅広いかつ高度な知識が問われます。そのため、合格するには事前の対策が必要不可欠です。
またE資格を受験するためには、JDLAの認定プログラムを受講し、修了する必要があります。複数ある認定プログラムの中から、どれを選択するかが非常に重要です。
今回は、実際にE資格に合格した方にE資格に合格するための対策や勉強のコツをお聞きし、体験記としてご紹介します。また、2022年8月より変更となった新シラバスのポイントや対策についても解説します。(※2024年8月開催の「E資格2024#2」から、新たにシラバスが改定されることが発表されたため、そちらについても補足しています。)
AIについて勉強し始めた方、AIエンジニアを目指している方や AIエンジニアとして活躍の場を広げたい方は特に必見です!
E資格の試験概要や難易度、合格率について知りたい方は下記の記事をチェックしてください。
1.E資格とは?
E資格とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催するディープラーニングの知識や実装スキルを証明する資格です。
E資格は2018年に開催されて以降、累計7,018名の合格者がいます(2024年1月時点)。
出典:日本ディープラーニング協会「「E資格(エンジニア資格)2023#2」結果発表とシラバス改定のお知らせ」
合格率は毎回おおよそ60%〜70%台と比較的高い割合ですが、E資格では、AIの仕組みを理解しているかだけではなく、理論的な内容や実装の流れを知っているかなども問われます。これらの幅広い知識を正しく習得しなければ、合格することは難しいでしょう。
2.E資格合格者インタビュー
ここからは2021年8月に実施されたE資格を受験し、合格した方の体験記を紹介します。
■合格者プロフィール
岩堀さん:製造業勤務。製品の技術開発をする部署で中間管理職を担当。
奥田さん:製造業勤務。製品評価や開発を担う部署での業務を担当。
-E資格を受けたきっかけはなんですか?
岩堀さん:現在の部署でデジタル推進のチームを任されたことがきっかけです。集まったメンバーはAIやプログラミングを得意とする方が多く危機感を感じたため、まずはG検定の勉強をするところから始めました。これまでデジタルやプログラミングには一切触れたことはなく、知識もなかったためマイナスからのスタートでした。
奥田さん:直属の上司である岩堀さんがE資格にチャレンジする姿を見てかっこいいなと思ったことがきっかけで、自分もチャレンジする決意をしました。前提知識として、プログラミング自体はMATLAB(※)を中心に3年ほど前から勉強しており、職場で自動化なども扱っていました。
※MathWorks社が開発している数値解析ソフトウェア、およびその中で使用するプログラミング言語
-E資格の勉強を始めたときの印象はどうでしたか?
岩堀さん:最初に問題集を見たときはとても難しい印象を受けました。数学の特異値分解や行列などに関する知識もほとんどなかったため先行きが不安になりました。最初の1〜2ヶ月は何も分からない状況で Python を写経したりしていました。
奥田さん:参考書を見たときは衝撃を受けるほど難しい印象でした。仕事で数学を扱っていたため得意分野だと自負していましたが、見事に打ち砕かれました。そこからは、YouTube や参考書を毎日見ながらとにかく手を動かして勉強していました。
2-1.E資格対策「JDLA認定プログラム」について
-どちらのJDLA認定プログラムと教材を使用しましたか?
岩堀さん:さまざまな認定プログラムを検討し、スキルアップAIの認定プログラムを受講しました。選んだ理由は、無料のトライアル版を視聴した際に講師の説明がすごく分かりやすかったからです。難しいところや大事なところを2回言ってくれたり、声も聞き取りやすかったです。
奥田さん:同じくスキルアップAIの認定プログラムを受講しました。理由は、やはり講師の説明がすごく分かりやすかったからです。トライアル版を視聴した時から大ファンになりました。
◆スキルアップAIのE資格対策JDLA認定プログラム◆
「現場で使えるディープラーニング基礎講座」
▼上記講座の詳細やポイント、おすすめの勉強方法などを解説したブログ
-スキルアップAI のプログラムを選んでよかったことはありますか?
岩堀さん:受講者に配布される「個人別進捗管理ファイル」に学習項目が書いてあり、自身の学習スケジュールや実績が見れたことです。振り返りもしやすく、覚えるべきポイントも分かりやすかったです。
奥田さん:資料の分かりやすさです。講義での説明もさることながら、図解などこれだけ分かりやすくまとまっている資料は今まで見たことがなかったので、一生の宝物だと思えるくらいびっくりしました。特に、他の資料では難しい印象を受けたニューラルネットワークなどの難しいアルゴリズムの説明に関しては、スキルアップAI の資料を見て理解することができました。
2-2.E資格合格に向けた勉強方法・対策
-勉強期間はどれくらい期間をとって準備されたのでしょうか?
岩堀さん:勉強期間は8ヶ月間ほどでした。勉強量としては平日3時間、休日5〜6時間くらい勉強していました。
奥田さん:勉強期間は岩堀さんと同じく8ヶ月間ほどです。勉強量としては平日4時間、休日7時間くらいを目安に勉強していました。
-勉強方法のコツやE資格対策の秘訣を教えてください。
岩堀さん:
①暗記する部分、②数学、③プログラミングの3分野に分けて勉強のサイクルを作っていました。①の暗記する部分は、単語帳を活用して空いた時間でも勉強できるようにしたり、「当日覚えるリスト」を作って試験の直前まで勉強したりしていました。
ただ、数式に関しては実際の試験で暗記していた部分と違うポイントで出題されることも多いです。特に深層強化学習などの分野では丸暗記しているだけでは解答するのが難しくなるため、注意するべき点だと思います。
奥田さん:
まずは数学や Python の文法の基礎を押さえることをおすすめします。黒本など参考書の例題を解くだけでは、できた気にはなるものの、結局基礎をやり直すことになりました。そのため、基礎を固めた上で少しずつ応用分野にもチャレンジすることが大事だと思います。結果として穴埋め問題などはすごく得意になりました。
また、私も深層強化学習の分野で数式に苦戦したため、見るだけ・覚えるだけではなく、数式を紐解いてその数式が何を意味しているのかまでを理解することが大事だと思います。
勉強でつまずいた際はスキルアップAIのSlackコミュニティで相談することもありました。すでに資格取得済みの参加者が回答してくれたり、優しく教えてくれたりするので、そういったコミュニティを活用することも心の支えになると思います。
-参考にしていたE資格の対策書籍はありますか?
岩堀さん:主に黒本と呼ばれる問題集「徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集 第2版」をベースに勉強していました。また、「ゼロから作るDeep Learning」でも少し学習しました。
出典:小縣 信也,斉藤 翔汰,溝口 聡,若杉 一幸「徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集 第2版 徹底攻略シリーズ」(インプレス 2021)
奥田さん:E資格を取得していた知り合いにもおすすめされたこともあり、試験前の1ヶ月間くらいは「ゼロから作るDeep Learning」を重点的に読み込んでいました。
出典:斎藤 康毅「ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装」(オライリージャパン 2016)
2-3.E資格を受験した感想
-実際にE資格を受けてみていかがでしたか?
岩堀さん:試験時間がとても短く感じました。試験端末の操作方法もあらかじめ体験できますが、試験中は計算機の出し方などが分からず焦ったりとずっと時間に追われながら問題を解いていました。
奥田さん:G検定の受験は自宅だったので、テストセンターでは本当に緊張しました。私は問題を最後まで解いた時点で40分ほど余ったので、逆に焦りました。時間が余ることは予想していませんでしたが、どんな問題が出ても慌てず落ち着いて問題を解いていけば安心して進められると思います。
2-4.E資格に合格してよかったこと
-合格したことで周りの反応に変化はありましたか?
岩堀さん:普段接する職場の方はAIを使っている方が多いため、E資格を持っていることで周りの方から一定の信頼感を得ることができるようになりました。
奥田さん:実は、今までは現在所属しているチームで1番の「アナログ人間」と言われていました。AIについて何も知らなかった私ですが、E資格を合格したことで知識を活かした製品やシステムの開発ができるようになりました。
周りの方から「こんなことできるの?」とすごく驚かれるようになり、モチベーションにもつながっています。
-個人の心境の変化もあったりしますか?
奥田さん:個人的な心境の変化はすごく大きいです。普段の業務でお客様からコンサルティングや相談などを受けることも多いですが、提供できるものの幅が広がり、システムを作る際のアドバイスができるようになりました。
今まではどのシステムやアルゴリズムを提供するべきか悩むことも多かったため、E資格によって得た知識が仕事に役立っていると実感しています。
2-5.E資格で得た知識やスキルを現場で活かす
-社内での AI 推進やチャレンジしていることはありますか?
岩堀さん:普段の業務では、市場から日々不具合情報などが上がってきます。その際「この不具合の原因は何なんだろう?」ということを自然言語処理を活用して判定できるようになったらいいなと思い、取り組んでいるところです。
今はベテランの方がお客様の言葉を読み取って原因を調査しています。AIの技術によって言葉から振り分けができるようになれば、今後業務削減や効率化につながると思っています。
-今後チャレンジしたいことや目指すことのイメージはお持ちですか?
岩堀さん:まずは業務に役立つAI開発を自分自身で担っていきたいと思っています。具体的には自然言語処理を使ったお客様の声の分析や、人の感性を具現化できるようなAIを開発していきたいです。また、AIの必要性や楽しさをより多くの方々に伝えていきたいです。
奥田さん:「AIやデータサイエンスを楽しむ」をテーマに周囲に新しい情報を発信していきたいです。モノを作ることよりもDXを含めた理解活動をしていくことで自ずと開発というものがついてくると思っています。
※体験記詳細はYouTube「AIビジネスチャンネル」で公開しています。
3.シラバス改訂のポイントと対策方法
2022年8月の試験より、シラバスが新たに改訂されました。受験を予定されている方は変更点についてどのように対策するべきか気になる方も多いでしょう。
ここからは、2022#2以降のE資格を受ける予定の方に向けて、新シラバスの内容やポイント、対策方法についてシラバス改訂内容に詳しいスキルアップAI講師の山田から伝授します。
3-1.フレームワークを用いた実装が問われるように
深層学習フレームワークによる実装が試験範囲に追加されます。受験者は、PyTorch もしくは TensorFlow を試験開始前に選択する必要があります。これまでのE資格では NumPy を使ったスクラッチ実装として問われていた範囲の問題が、フレームワークを用いた実装に置き換わる部分もあります。
スキルアップAIではディープラーニングのためのPyTorch入門講座を開講しています。また、E資格対策講座の現場で使えるディープラーニング基礎講座では、本カリキュラム改訂に伴い PyTorch講座をセットで提供しているため、受講者は PyTorch を用いた実装の対策ができます。
その他のおすすめ書籍
分野 | 書籍名 |
---|---|
TensorFlow | 新村拓也『TensorFlowではじめるDeepLearning実装入門』インプレス, 2018. |
PyTorch | 宮本圭一郎ほか『PyTorchニューラルネットワーク実装ハンドブック』秀和システム, 2018. |
3-2.深層学習の各分野に項目が追加
旧シラバスからある深層学習のセクションにも新たな項目が追加されています。追加箇所として以下のような点が挙げられます。
- 深層強化学習分野にA3Cが追加
- 画像認識分野にResNetとEfficientNetが新たに追加
- 自然言語処理分野にBERTとGPT-nが追加
これらはすべて現場で使えるディープラーニング基礎講座の新シラバス対応の補足教材で対策することが可能です。
その他のおすすめ書籍や記事
分野 | 区分 | 書籍・記事名 |
---|---|---|
深層強化学習 | 書籍 | 小川雄太郎『つくりながら学ぶ!深層強化学習 PyTorchによる実践プログラミング』マイナビ出版, 2018 |
Qiita |
【強化学習】実装しながら学ぶA3C【CartPoleで棒立て:1ファイルで完結】 →A3Cについて解説 |
|
画像認識 | ブログ記事 |
Pytorch – ResNet の仕組みと実装について解説 →PyTorchを用いた実装例とともにResNetの仕組みを解説 |
自然言語処理 | メディア記事 |
言語理解AIの仕組みと使い方–「BERT」「GPT-3」はどう使うのか? →BERTとGPT-3の基本的な仕組みを解説 |
Qiita |
PyTorchで日本語BERTによる文章分類&Attentionの可視化を実装してみた →BERTのPyTorchを使った実装方法を解説 |
仕組みをしっかり理解したい場合、少し難解ですが、原著論文やもしくはその日本語解説記事を読むこともおすすめします。
3-3.距離学習やメタ学習、深層学習の説明性など、新たなセクションが追加
距離学習やメタ学習、深層学習の説明性なども追加になりました。この分野も、原著論文やその派生コンテンツから学ぶのが確実ですが、前提知識が足りないと理解が難しい場合もあります。こういった比較的新しい領域の知識は、書籍などでまとまっている情報が少なく、自学自習が少し難しいです。
新たに追加となった分野に関しても現場で使えるディープラーニング基礎講座の補足教材で対策することが可能です。
また、無料勉強会「スキルアップAIキャンプ」では新設分野のXAI(説明可能なAI)やメタ学習についてもテーマとして取り扱いますので、参加するとより効果的に学習を進めることが可能です!
その他のおすすめ書籍や記事
分野 | 区分 | 書籍・記事名 |
---|---|---|
距離学習 | Qiita |
Deep Metric Learning の定番⁈ Triplet Lossを徹底解説 →距離学習の基礎知識について解説 |
メタ学習 | ブログ記事 |
MAML(Model-Agnostic Meta-Learning)を Pytorch で実装体験しました. →メタ学習の基本とPyTorchによる実装方法を解説 |
補足:「E資格2024#2」から適用される新シラバスへの対応について
2024年8月開催の「E資格2024#2」から、新たにシラバスが改定されることが発表されました。スキルアップAIは、新たに適用される新シラバスに対応する補足教材を現在制作中です。2024年4月1日より提供開始予定です。
スキルアップAIの「現場で使えるディープラーニング基礎講座」は、講座は、本編(DAY1~DAY8)・E資格のための補足教材・PyTorch講座で構成されています。
現カリキュラムの本編とPyTorch講座は、シラバス改定後も変更はございませんので、4月1日以前にお申込みでも学習開始可能です。4月1日時点で受講期間が残っている方には、補足教材が完成次第ご提供します。
JDLA公開の新シラバスに関する詳細は、以下URLからご確認ください。
https://jdla.org/certificate/engineer/#engineer_No03
新シラバス適用の補足教材カリキュラムは以下を予定しております。
第1章:生成モデル
第2章:深層強化学習
第3章:画像認識(WideResNet, EfficientNet)
第4章:画像の局在化・検知・セグメンテーション(Mask R-CNN, FCOS)
第5章:自然言語処理(GPT-n)
第6章:距離学習(SiameseNet, Triplet Net)
第7章:深層学習の説明性(LIME, SHAP, Grad-CAM)
第8章:環境構築(Docker)
第9章:基礎数学・応用数学 New
第10章:ディープラーニング基礎 New
第11章:データ拡張 New
第12章:画像認識とCNN New
第13章:物体検出とセグメンテーション New
第14章:生成モデル New
第15章:自然言語処理 New
第16章:開発・運用 New
第17章:発展的な手法 New
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4.まとめ
今やAIはDXの主役と言えるほど重要視されています。DXを担う人材になるためには、ディープラーニングの理論を理解し、実装するスキルが必要です。そのようなスキルの取得のためE資格合格を目指す方は、ぜひ本ブログを参考にして対策してみてください。
現在、一番人気の講座を無料で視聴できるトライアルを実施中です。講座の雰囲気やわかりやすさを体験できますので、ぜひお試しください。
また、「E資格に向けた『JDLA認定プログラム』オンライン説明会」では、認定プログラムの特長や概要、スケジュールについてご説明します。詳細が気になる方は、ぜひ無料説明会にご参加ください。
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