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JDLA共催セミナー “全社的なデジタル人材育成の進め方と考え方 ~ダイハツ流デジタル人材育成の考え方 その1” 開催レポート
2022年7月13日(水)、ダイハツ工業株式会社の太古無限様をお迎えし、JDLA共催セミナー “全社的なデジタル人材育成の進め方と考え方 ~ダイハツ流デジタル人材育成の考え方 その1” を開催しました。
スキルアップAIでは様々な企業のデジタル人材育成やDX推進のご支援をさせていただいていますが、その中でもダイハツ工業はデジタル人材育成の取り組みとその全社的な推進において随一の実績をお持ちです。そんなダイハツ工業のキーマンである太古様にご登壇いただき、全2回に分けて存分にお話いただけることになりました。今回は7月13日に開催した第一回目のレポートをお送りします。
太古 無限(たいこ・むげん)様 プロフィール
ダイハツ工業株式会社
DX推進室データサイエンスグループ リーダー
(兼)東京LABOデータサイエンスグループ リーダー2007年入社、エンジン制御開発を経てDX推進室へ。ダイハツ社内でAIムーブメントを牽引。まずは小さな勉強会から始め、今やダイハツ全社での取り組みに拡大。滋賀大学データサイエンス学部インダストリアルアドバイザーや東京都市大学情報工学部インダストリアルアドバイザーなど多数の役職を持つ。
ムーブメントを起こすのに近道なし
昨今、DX推進部やDX企画室といった名称の新規部署が設立されたり、担当としてDX推進の業務が割り振られている方も多いと思います。そのような方々に共通している悩みが、「なかなか社内の人に理解してもらえない」といったものではないでしょうか。
今では全社でAI研修が実施されるようになったダイハツ工業においても、一足飛びにそうなったわけではありません。太古様を中心に、泥臭い地道な活動を続けていったそうです。AIを使いこなす人材を全社に広めるために必要なステップとして、「マジメに事例作り」、「遊び心でワクワクする」、「仲間と教えあう」の3つを設定し、それぞれで実績を積み重ねていきました。
それぞれ実施したことは、主に次のとおりです。
- <マジメに事例作り>
- <遊び心でワクワクする>
- <仲間と教えあう>
全社AI研修、部門別のAI研修、テーマ創出ワークショップなど
身近なモノにAI活用、レゴマインドストーン、Kaggleなど
AI活用事例共有会、AIキャンプ(外部ゲストを招いた月次ベント)、資格チャレンジ
AIを使いこなす人材≠AIを作る人材
自動車業界が大きな変革期にある中、「小さな取り組みではダイハツは変わらない」という危機感から人事担当部署と折衝を重ね、2020年1月に全社AI研修体系を合意、同年12月より開始します。
実際にAI人材を育成するにあたり、ダイハツ工業では「AIを使いこなす人材」を育成することをゴールに設定しました。AI人材を「AIを作る人材」と「AIを使いこなす人材」の2パターンで捉えた時、近年は高度なプログラミングや数学の技術を必要としないノーコードやローコードのツールが豊富になっていることから、それらのツールを使いこなしながら課題を解決しビジネスインパクトを創出できる人材を重要視しました。
スキルレベルを「素養人材」「中核人材」「TOP人材」の3段階に社内で定義し、それぞれに合った研修コースを用意しました。特に、座学だけでなく、成功体験を積む機会を設けるため、素養レベルにおいてもAIや統計を体験できる研修を設定しました。また、研修後のAI導入ハードルを下げるため、DataRobotを標準ツールとして導入しました。
教育とツールを実装に繋げる仕組み作り
教育(研修)とツールを渡しただけで全社で自動的にAIが推進されるわけではありません。ダイハツ工業では実装に繋げる仕組みもしっかりと用意しています。ぼんやりとAIのアイデアがあるという人が具体化できるようにAIアイデア相談会を開催。データサイエンスグループのメンバーがヒアリングを行い、ディスカッションしながらアイデアを具体化していきます。アイデアが固まった人に対してはAI実装相談会(AI道場)を開催し具体的な実装手法やその中で見えてきた課題の解決方法を指南していきます。
また、他部署の動向やAI実装アイデアを社内成功事例として共有できるよう、AI活用事例共有会も開催。現在、報告の数や種類が右肩上がりで上昇中です。
教育(研修)から始まり、AI導入ハードルを下げるツールの活用、そしてAIのプロであるデータサイエンスグループによる実装までの伴走の仕組み。このように脱落しない仕組みをシームレスに整えたことで、ダイハツ工業内でAIの事例が増え、成功事例の共有により全社的なムーブメントとなっていったことがわかりました。
7月27日開催の第二回目では「ダイハツが考えるデジタル人材育成その後~ダイハツ流デジタル人材育成の考え方 その2~」として社内育成した人材の活躍や研修参加者同士の教え合いなど社内の状況についてお話いただきます。
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