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DXとは何か?意味や課題、成功事例を紹介しながらわかりやすく解説!
本記事では、DXの意味やメリットなど、DXについての全体像について、お伝えします!
この記事を読むことで、以下について学ぶことができます。
✅DXについての知見が広がり、ITリテラシーを高める事ができる
✅具体的なDX導入による成功事例を踏まえ、業務効率化のイメージができる
✅DX導入による、新たなビジネスモデルの解像度を高められる
DXとは
DXとは、デジタル技術を活用し、デジタルモデルを変革することを指します。業務の効率化だけでなく、データやデジタル技術を活用した上で顧客や社会のニーズに沿った製品やサービスを提供し、競争力を向上させることを目的としています。
また、DXは、英語のデジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)の略で、Digitalは文字通り”デジタル”、transformationは”変える”、”変革する”等の意味合いがあります。英語圏では、「trans」を「X」と略すことが多いため、DX(ディー・エックス)と略されます。
経済産業省によるDXの定義
ここでは、経済産業省が2018年に発表した「DX推進ガイドライン」をもとに、実際に政府が、DXをどのように定義しているのか簡単に紹介します。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、
顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革する
とともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、
競争上の優位性を確立すること
企業がビジネス環境の変化に対応し、競争上の優位性を確立するためには、ビジネスモデルを変革する必要があります。そのためには、データとデジタル技術を活用し、企業の業務や企業全体の有り方を根本から見直すだけでなく、顧客や社会のニーズに沿った価値提供をすることが重要であるとされています。
DXとIT化の違い
DXとITは、よく連携して使用される用語ですが、それぞれには重要な違いがあります。
DX | IT | |
---|---|---|
目的の違い | ビジネスモデルや顧客体験の変革を目指す | 情報の効率的な処理や管理に焦点を当てる |
範囲の違い | 企業全体の変革を含む広範囲なアプローチ | 特定の技術やシステムに関連するより具体的な領域に限定 |
アプローチの違い | 既存のビジネスの見直しと事業革新を推進するための戦略的な取り組み | 日常業務の効率化やサポートを目的とした運用的な活動 |
GXやSXとの違い
GXとは、グリーントランスフォーメーションの略で、脱炭素社会を目指す取り組みを通じて、経済社会システムを変革させることを指します。
一方でSXとは、サステナビリティトランスフォーメーションの略で、企業と社会のサステナビリティを推進するために必要な企業の経営戦略等の変革を指す用語です。
詳しくは、こちらの記事を参照してください。
DX・GX・SXの違いとは?取り組み内容や関係性を解説
サステナビリティとは?企業の取り組み事例やSDGsとの違いを解説
DXの実現に向けた課題と解決策
DXは、企業にとって多くの機会をもたらす一方で、実現に向けた課題も伴います。ここでは、特に顕著な3つの課題と、それらに対する解決策について解説します。
技術的ハードルの克服
課題
多くの企業にとって、最新技術の導入や既存システムとの統合は大きな課題です。レガシーシステムの柔軟性の欠如、新技術への知識不足、高額な初期投資が主な障壁となり得ます。
解決策
この課題に対処するためには、段階的なアプローチが効果的です。まず、組織の具体的なニーズと目標を明確にし、それに基づいて最適な技術を選択します。次に、小規模なプロジェクトを通じて新技術の試用を開始し、徐々に規模を拡大していくことが推奨されます。また、外部の専門家やコンサルティング会社と協力することで、技術的な知見を補い、リスクを管理することも有効な手段です。
組織文化との整合性
課題
DXを成功させるためには、技術だけでなく、組織文化の変革も必要です。従来のやり方に固執する文化や、変化に対する抵抗は、DXの取り組みを妨げる大きな障害となります。
解決策
組織文化を変革するには、トップダウンでのリーダーシップが鍵となる場合があります。経営陣がDXのビジョンを明確にし、それを組織全体に浸透させる取り組みを行うことが重要です。また、従業員が新しい技術やプロセスを学び、適応するための人材育成・研修を実施することも必要です。さらに、コミュニティ構築などを通じて、チームの小さな成功を祝い、その成果を共有することで、組織内の変化への抵抗を減らし、変革への意欲を高めることができます。
DXの実現には、技術的な課題だけでなく、組織文化の変革も求められます。これらの課題に対処するには、会社全体での責任を持った関与と、従業員一人ひとりの変革への参画が不可欠です。技術的ハードルの克服と組織文化の整合性を確保することで、DXを成功に導くことが可能になるでしょう。
データセキュリティとプライバシー
課題
デジタル化の進展に伴い、データセキュリティとプライバシーの保護がますます重要になっています。データ漏洩やサイバー攻撃のリスクは、企業の信頼性と顧客の信頼を損なう可能性があります。
解決策
強固なセキュリティ体制の構築は、DXを成功させる上で欠かせません。これには、最新のセキュリティ技術の導入、従業員へのセキュリティ意識の教育とトレーニング、そして定期的なセキュリティ監査の実施などが必要となるでしょう。さらに、データプライバシーや顧客データに関する法規制を遵守するために、生成AIなどの外部ツールを利用する際のガイドラインの策定なども必要となります。
DX推進の方法
DXの進め方は企業や業界、業種により様々ですが、経済産業省では、DX実現までの段階を以下の3つに分解しています。
- デジタイゼーション
- デジタライゼーション
- デジタルトランスフォーメーション
デジタイゼーション
デジタイゼーションとは、アナログ・物理データのデジタル化を指します。例えば、下記の内容はデジタイゼーションにあたります。
紙の書類のスキャン | 企業が紙ベースの書類をスキャンしてPDFファイルに変換し、デジタルデータとして保存・管理すること |
アナログ音楽のデジタル化 | レコードやカセットテープに保存されている音楽を、MP3やWAVのようなデジタルフォーマットに変換すること |
フィルム写真のデジタル化 | 昔のフィルム写真をスキャナーでスキャンし、デジタル画像として保存すること |
印刷媒体のデジタルアーカイブ | 新聞や雑誌の過去記事をデジタルスキャンし、オンラインで閲覧できるようにアーカイブすること |
ハードコピーの書籍を電子書籍に変換 | 物理的な書籍をスキャンして、KindleやPDF形式の電子書籍に変換すること |
デジタイゼーションは、あくまでアナログ情報をデジタル化するプロセスであり、その後のデジタル技術を活用した業務改善やビジネスモデルの変革(デジタライゼーションやデジタルトランスフォーメーション)とは異なります。
デジタライゼーションとは
デジタライゼーションとは、デジタル技術を活用して既存の業務プロセスやサービスを効率化・改善することを指します。例えば、下記の内容はデジタライゼーションにあたります。
ペーパーレス化の推進 | 企業が紙の書類をデジタルフォームに切り替え、社内での承認プロセスや契約書の管理を電子署名を使って行うことで、業務効率を向上させること |
電子商取引(Eコマース)の導入 | 伝統的な店舗販売から、オンラインショッピングサイトを導入し、商品販売や決済をデジタル化することで、顧客層を広げ、売上を増加させること |
カスタマーサービスのチャットボット化 | 顧客からの問い合わせ対応をAIチャットボットに置き換え、24時間対応を可能にするとともに、対応時間を短縮し、コストを削減すること |
デジタルワークフローの導入 | 製造業での工程管理を手作業からデジタルワークフローに置き換え、生産の進捗状況や品質管理をリアルタイムでモニタリングし、効率化を図ること |
クラウドベースのコラボレーションツールの導入 | 社内コミュニケーションやプロジェクト管理を、クラウドベースのツール(例:Slack、Trello、Google Workspace)に移行し、リモートワークでも効率的なチーム運営を実現すること |
在庫管理の自動化 | 小売業でバーコードスキャナーやRFIDを導入し、在庫の追跡や管理を自動化することで、在庫の最適化と作業効率の向上を図ること |
経済産業省のDXに関する取り組み
経済産業省では、DXを主要施策として位置づけ、以下の施策や資料を展開しています。
- デジタルガバナンス・コード
- DX推進指標
- DX認定制度
- DX投資促進税制
- DXレポート
デジタルガバナンス・コード
デジタルガバナンスコードとは、「企業がデジタル技術による社会変革を踏まえて経営ビジョンを策定・公表するための指針」です。Society 5.0に向けたデジタル化の進展や、新たなビジネスモデルによって既存ビジネスが破壊される(デジタルディスラプション)リスクに対応するために、経済産業省により策定されました。
このコードには、企業がDXを推進する際に、ITシステムとビジネスを一体化させ、新たな価値を創造する戦略や、組織全体で取り組むべき事項が示されています。また、ステークホルダーとの対話を通じて、変革を促進するための具体的な方針も記載されています。
また、中小企業向けに特化した内容のDX推進の手引きに関する情報も展開されているので、DX推進を行う際に参考になるでしょう。
デジタルガバナンス・コード2.0
中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き
DX推進指標
DX推進指標とは、IPAによると、以下のように説明されています。
「DX推進指標は、経営者や社内の関係者がデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向けた現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげるための気付きの機会を提供するものです。」
DX推進指標のご案内 | 社会・産業のデジタル変革 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
DX認定制度
DX認定制度とは、経済産業省によると、以下のように説明されています。
「DX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度です。」
DX認定制度(情報処理の促進に関する法律第三十一条に基づく認定制度) (METI/経済産業省)
DX投資促進税制
DX投資促進税制とは、経済産業省によると、以下のように説明されています。
「DX投資促進税制とは、産業競争力強化法に基づく自部門・拠点毎ではない、全社レベルのDXに向けた計画を主務大臣が認定した上で、DXの実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資に対し、税額控除(最大5%)または特別償却30%を措置する計画認定制度です。」
DXへの取り組みを進めることで、このような政府による支援制度等の利用も期待することができるでしょう。
DXレポート
DXレポートとは、経済産業省が作成・公開しているDXに関するレポートのことです。DXを実現するための、現状や課題、対応策などがまとめられています。具体的には、「2025年の壁」や、DX実現のためのシナリオ、DXの推進に向けた対応策について記載されています。
デジタル化に対応したあとの企業の姿や、政策の方向性などもまとめられているので、日本がなぜDXを重要視しているのか、DXについてより理解が深まるでしょう。
国内のDX成功事例
DXの成功を実現するためには、戦略的なアプローチが必要です。ここでは、DXの成功事例をご紹介します。
無人決済システム
株式会社ファミリーマート、株式会社TOUCHTOGO、東武鉄道株式会社、東武商事株式会社は、鉄道利用者がウォークスルーで短時間で買い物ができるシステムを開発しました。
開発の背景には、鉄道利用者から、朝の通勤時や移動の合間を使って短時間で買い物したいというニーズが増えていたことや、コロナ禍で非接触での買い物の需要が増したことが挙げられます。店舗の運営やオペレーションにかかるコストの削減と非対面決済の推進を目的に導入しました。
出典:『東武鉄道のファミリーマートで無人決済システムを導入へ ファミリーマート岩槻駅店を10月12日リニューアルオープン!~スピーディで快適なお買い物環境と店舗オペレーション省力化の実現~』
無人決済システムは、天井のカメラと棚のセンサーによって完全無人決済を実現しています。導入によって、鉄道利用者の利便性の向上はもちろん、人材不足解消にもつながっています。
同じようなサービスに、Amazon Go無人決済店舗があります。Amazon Go無人決済店舗は、カメラとAIによって実現されました。
買い物をしたい人は、事前にスマートフォンに専用アプリをインストールし、その専用アプリを起動して入店します。購入したい商品をバッグや袋に詰めて店舗から出る際、店内のカメラによって購入商品が自動的に判断され、精算と決済が自動的に完了します。
待ち時間予測システム
日本電気株式会社は、羽田空港国際線旅客ターミナルの空港保安検査場の混雑状況をリアルタイムに分析し、可視化するシステムを提供しました。
出典:『NEC、羽田空港国際線旅客ターミナルの保安検査場に「待ち時間予測システム」を構築』
このシステムでは、2カ所ある検査場の待ち時間予測を完全に自動化しています。システム導入前は、空港利用者が手荷物検査を受けるために長時間並ばなければなりませんでした。しかし、このシステムの導入により、表示される混雑状況を確認し、どちらの検査場を利用すればよいかを判断できるようになりました。また、検査場の利用率が平準化されたことで、航空機運航の遅延が減少することも期待されています。
AI需要予測サービス「サキミル」
ソフトバンク株式会社、一般財団法人日本気象協会が提供する「サキミル」は、小売や飲食業界向けに、人の流れや気象データを活用したAIによって需要を予測します。業務効率化や販促などの側面から、小売業や飲食業を支援し、DX化を推進することを目的としています。
出典:『人流・気象データなどを活用した小売り・飲食業界向けAI需要予測サービス「サキミル」を提供開始』
年々深刻化している食品廃棄は、年間570万トンにも上るといわれています。また、小売業界や飲食業界では、人材確保が課題となっています。
独自のAIアルゴリズムによって高精度な分析予測が可能なこのシステムでは、人流統計データを活用して、人流の動向を把握できます。発注業務に活かせば、フードロスの削減や生産性の向上に貢献できます。
デジタルサイネージ効果測定システム「あいも」
デジタルサイネージは普及する一方で、以下のような課題を抱えています。
- 視聴者情報が少ない
- 効果測定が難しく投資効果が分かりにくい
- どのようなコンテンツを出せば効果が見込めるのか分かりにくい
「あいも」は、効果的なコンテンツ運用の実現を目指し、デジタルサイネージ効果を測定する目的で開発されました。実施団体は、以下の通りです。
- 株式会社オープンストリーム
- 日本コンピュータビジョン株式会社
- NEXCO西日本コミュニケーションズ
NEXCO西日本のデジタルサイネージに試験的に導入し、デジタルサイネージの投資対効果を測定しています。
出典:『オープンストリーム、デジタルサイネージ効果測定システム「あいも」を開発 高速道路サービスエリア試験導入』
「あいも」は汎用カメラと世界最高峰のAI技術を組み合わせており、数をカウントする精度は95%以上、分析精度は90%以上と、認識精度が非常に高いです。また、分析情報の集計を検証することによって、より効果的なコンテンツの運用が期待できます。
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小縣 信也
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1級建築士、エネルギー管理士。2013年、国土交通省国土技術政策総合研究所 優秀技術者賞受賞。 日本ディープラーニング協会主催2018E資格試験 優秀賞受賞、2019#1E資格試験優秀賞受賞。最近は、需要予測や異常検知などのモデル開発に取り組んでいる。著書「徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集」(インプレス)。
斉藤 翔汰
スキルアップAI講師。横浜国立大学大学院 環境情報学府 情報メディア環境学専攻(現:情報環境専攻)修了。修士(情報学)。機械学習/深層学習のトップ国際会議ICMLを始め、複数の国際会議において論文採択実績を持つ。現在はDeep Learningや機械学習、進化計算などの人工知能分野におけるアルゴリズムの研究開発やコンサルティングに従事。日本ディープラーニング協会の2018年度・2019年度E資格合格者、2018年度G検定合格者。著書「徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集」(インプレス)。Microsoft社認定トレーナー。
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