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DXリテラシー標準とは?重要性、社員のDXリテラシーを高める方法を詳しく解説
近年、多くの企業がDX(Digital Transformation=デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいます。DXを推進する際にポイントとなるのが「DXリテラシー」です。DXを推進するために、全社員がDXリテラシーを身につけておくことが重要です。
しかし、DXリテラシーがどのようなものか、正しく理解している人はまだまだ少ない状況です。
そこで本記事では、経済産業省が定めているDXリテラシー標準の重要性や、DXリテラシーを高める方法について詳しく解説します。
1. DXリテラシーとは
はじめに、DXリテラシーについて説明します。
DXリテラシーとは、デジタル技術を活用してビジネスや生活を変革する「DX」と、物事を正しく理解し活用できるという意味の「リテラシー」を合わせた言葉です。つまりDXリテラシーとは、「DXを推進するための基礎的な知識やDXを実践するスキル」のことを指しています。
ITリテラシーとの違いについて
DXリテラシーは、「ITリテラシー」という言葉と混同されるケースが多く見られます。
ITリテラシーとは、IT技術に関する知識とそれを活用する能力のことです。
DXリテラシーは、デジタル技術を活用して組織・ビジネスに変革をもたらすためのスキル・知識などを指しており、DXを実現するための手段の一つとしてIT技術が用いられています。
2. DXリテラシーの重要性
DXを推進するには、社内のDXリテラシーを向上させる取り組みが必須です。ここでは、DXリテラシーを身につけることの重要性について解説します。
競争優位性を築くことができる
DXは、企業がビジネスモデルや戦略を変革し、新しい市場や顧客層を獲得するための重要な手段の一つです。DXリテラシーが高い企業は、変化する市場環境や顧客ニーズに対して迅速かつ適切に対応でき、競争優位性を築くことができます。
業務の効率性・生産性の向上に最適なテクノロジーを選定できるようになる
デジタルテクノロジーの導入は、業務プロセスの効率化・自動化を可能にし、企業全体の生産性向上につながります。DXリテラシーがあれば、デジタルテクノロジーを導入する際に、より業務の効率性・生産性を向上させるテクノロジーを選定しやすくなるでしょう。
顧客満足度の向上につながる
デジタルテクノロジーを利用することで、企業は顧客満足度を高めることが可能です。デジタルテクノロジーを用いて顧客データを分析し、顧客のニーズを正確に把握することでより質が高いサービスを提供できるようになります。
新しいビジネスアイデア・ソリューションを生み出すことができる
DXリテラシーを持つ組織は、新しいアイデアやソリューションを生み出し、イノベーションを推進できます。新しいビジネスチャンスを創出することで、市場での競争優位性を維持できるでしょう。
セキュリティリスクを管理できる
DXの推進にはさまざまなセキュリティリスクが伴います。DXリテラシーがあることで、企業はセキュリティリスクを適切に評価・管理することができるでしょう。
このように、社員のDXリテラシーを向上させることで、企業はさまざまなメリットを享受できます。
3.経済産業省が定めているDXリテラシー標準とは
経済産業省は、「DXリテラシー標準」とDXを推進する人材の役割や習得すべきスキルなどを定義した「DX推進スキル標準(DSS-P)」の2つを「デジタルスキル標準」として定めています。
DXリテラシー標準では、全てのビジネスパーソンが身に付ける必要があるDXに関する基本的なスキル・マインドについて定めており、DXに必要なスキルを体系的に把握することが可能です。
一方でDX推進スキル標準は、DXを推進するための専門性の高い人材を確保するためのガイドラインとなっています。
DXリテラシー標準の評価基準
DXリテラシー標準には、Why(DXの背景)、What(DXで活用されるデータ・技術)、How(データ・技術の活用)、マインド・スタンスの4つの評価基準があります。
画像引用元:経済産業省「DXリテラシー標準」P5
それぞれの学習項目と学習ゴールは以下の通りです。
● Why(DXの背景)
【学習項目の例】
- 日本と海外におけるDXの取り組みの差
- 顧客・ユーザーの行動変化と変化への対応
- 顧客・ユーザーを取り巻くデジタルサービス
【学習ゴール】
人々が重視する価値や社会・経済の環境がどのように変化しているか知っており、DXの重要性を理解している
● What(DXで活用されるデータ・技術)
【学習項目の例】
- データの分析手法
- AIを作るための手法・技術
- クラウドサービスの提供形態
- ハードウェアやソフトウェアの種類
- ネットワークの仕組み
【学習ゴール】
DX 推進の手段としてのデータやデジタル技術について知っている
● How(データ・技術の活用)
【学習項目の例】
- 事業活動におけるデータ・デジタル技術の活用事例
- ツールの活用方法
- セキュリティ技術
- 個人情報の定義と個人情報に関する法律・留意事項
【学習ゴール】
データ・デジタル技術の活用事例を理解し、その実現のための基本的なツールの活用方法を身につけた上で、 留意点などを踏まえて実際に業務で活用できる
● マインド・スタンス
【学習項目の例】
- 変化への適応
- 顧客、ユーザーへの共感
- 常識にとらわれない発想
- 柔軟な意思決定
- 事実に基づく判断
【学習ゴール】
社会変化の中で新たな価値を生み出すために必要なマインド・スタンスを知り、自身の行動を振り返ることができる
DXリテラシー標準では、組織・企業、個人、教育コンテンツ提供事業者それぞれの立場ごとに活用方法を示しています。
DXリテラシー標準に沿って学んでいき、DXリテラシーを身につけた人材が増えることによって、DXを加速させることができるのです。
4. DXリテラシー向上に役立つ検定・研修
DXリテラシー標準は、主にDXを推進する際に必要となる知識・スキルの基準を定めています。しかし、それをどのように習得すべきか、具体的な教育メニューやカリキュラムまで詳細に指定しているわけではありません。
したがって、企業はDXリテラシー標準をもとに具体的な教育内容を設計し、実施する必要があります。ゼロから教育内容を設計することは非常に難しいため、資格制度や外部の教育サービスを活用すると良いでしょう。
DXリテラシー向上に役立つ検定
DXリテラシーを高めるために有効な検定として「DS検定(データサイエンティスト検定)」、「G検定」、「E資格」が挙げられます。下記でそれぞれの検定の内容について解説します。
■DS検定(データサイエンティスト検定)
DS検定とは、データサイエンティストに必要な基礎的な知識や実務能力などが問われる試験です。データサイエンティスト協会が実施しており、データサイエンティストに必要な3つの力(データサイエンス力・データエンジニアリング力・ビジネス力)の実務能力や知識、数理・データサイエンス・AI教育のリテラシーレベルの実力を問う問題などが出題されます。
DS検定の試験時期は年2回(春・秋)となっており、全国の試験会場で開催されています。問題数は90問で2023年6月に実施された第4回試験の合格率は約44%です。
参考:データサイエンティスト協会「DS検定®★ 過去の実施結果」
■G検定
G検定とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施している、AIやディープラーニングを活用するための基礎的な知識に関する資格です。
G検定では、主にAIやディープラーニングに関する基本的な概念や構造、数理・統計などについて出題されており、AIを事業に活用するジェネラリスト向けの資格となっています。
G検定の試験時期は、年6回(奇数月)となっており、オンラインで行われます。2023年9月の受験者数は3,309名で、そのうち合格者数は2,390名、合格率は72.23%となっています。
参考:日本ディープラーニング協会「「2023年 第4回 G検定」開催結果を発表(3,309名が受験し、2,390名が合格)」
■E資格
E資格とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が認定しているAIエンジニア向けの資格のことです。ディープラーニングの実装をリードできる人材を増やすことを目的に作られました。
E資格では主に機械学習や深層学習、開発・運用環境などの問題が出題されます。
E資格の試験時期は年に2回(2月・8月)となっており、日本ディープラーニング協会の公式Webページから受験申し込みが可能です。2023年8月に実施されたE資格の受験者数は1,065名で、合格者は729名、合格率は68.45%という結果でした。
参考:日本ディープラーニング協会「「E資格(エンジニア資格)2023#2」結果発表とシラバス改定のお知らせ」
DXリテラシーの向上に役立つ研修
DXリテラシー向上のためにどのような研修を利用するべきか、自社でどのように人材育成を行っていくべきか迷っている場合、プロに相談するのも一つの手です。
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スキルアップAI「スキルアップAI法人研修プログラム」
さまざまな企業がスキルアップAIの研修を利用し、DX推進に役立てています。下記の導入事例もぜひ併せてご覧ください。
● ダイハツ工業株式会社導入事例「ダイハツ工業がDXビジョンを策定するまでの道のり」
● 上新電機株式会社導入事例「経営ビジョンの実現を目指して。第一歩は研修を通じて現場に「DXに取り組む意義」を理解してもらうこと」
5. まとめ
今回は、DXリテラシー標準の重要性や、DXリテラシーを高める方法について解説しました。DXリテラシー標準では、DXに関する基本的なスキル・マインドについて定めており、DXに必要なスキルを体系的に把握することが可能です。
ただし、具体的な教育メニューやカリキュラムまで詳細に指定しているわけではないため、企業はこの標準をもとにして、具体的な教育内容を設計・実施する必要があります。社員教育を実施する際には、資格制度や外部の教育サービスを活用するのがおすすめです。
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