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【DX】業界別の成功事例21選|取り組みのポイントを解説


デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業の競争力を高め、持続的な成長を実現するための重要な鍵として注目されています。DXとは、デジタル技術を活用して業務やサービス、ビジネスモデルを革新し、単なるIT化にとどまらず、企業文化や働き方、顧客体験の変革を含む包括的な取り組みです。しかし、具体的にどのような取り組みが成功につながるのか、その実例を知ることは難しいと感じる方も多いでしょう。
本記事では、様々な業界で実際に成功したDXの事例を21選にまとめ、それぞれの取り組みのポイントを詳しく解説します。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
はじめに、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の定義や歴史、似ている関連用語との違いについてわかりやすく解説します。
DXの定義
総務省令和3年版情報通信白書では、DXを以下のように定義しています。
Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
(出典)総務省:令和3年版情報通信白書 デジタル・トランスフォーメーションの定義
実は、DXの意味は厳密に定義されているわけではありません。そのため企業や学者によっても認識が異なるケースがあり得ます。
最初に「デジタルトランスフォーメーション」という概念を提唱したのは、2004年のスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授とされています。ストルターマン教授は、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」とし、これを「デジタルトランスフォーメーション」と呼びました。
ただデジタル技術が発展するだけではなく、これを用いて人や社会がより緊密に連携し相互に発展し、それらを持続させるための仕組みづくりを目指しているともいえるでしょう。
日本におけるDXの歴史
日本においてDXが広がったきっかけは、2018年(平成30年)に経済産業省が取りまとめ、公表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」によるものが大きいでしょう。この流れを受け、日本企業でもさかんにDXというワードが使われるようになりました。
しかし、「新しい情報システムなどを導入すること」だけをDXだと勘違いしている企業、また経営者も依然多いといわれます。実際にDX化、DX導入を目指した企業でも、うまくいかなかったと考える企業も少なくないようです。
【参考】DXとデジタイゼーション、デジタライゼーションの違い

「デジタル化」には「デジタルトランスフォーメーション」のほかに「デジタイゼーション(Digitization)」「デジタライゼーション(Digitalization)」があります。この3つはそれぞれ段階的に発展していくものと考えることができます。
「デジタイゼーション」は、アナログからデジタルへの置き換えを指します。
「デジタライゼーション」は、デジタル化によって効率化された社内の業務環境を作り出すだけでなく、ビジネス戦略や自社にかかわる外部環境そのものも含めた、業務の流れの効率化を目指すものです。
総務省などの定義ではデジタイゼーションからデジタライゼーションへ、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)へと進むとされているようです。
自社にDXを導入したいと考える場合、現状、どの段階にあるのかを把握することでDX導入への足がかりとできるでしょう。
次の章からは、実際にデジタルトランスフォーメーションに成功した事例を、それぞれの業界・業種ごとに紹介します。
【事例1】製造業のDX2選
ここでは製造業企業のDX取り組みについて解説します。
※業種分類については以下を参照しています
経済産業省:用語について(工業統計調査)
日本経済新聞:日経業種分類から探す
①株式会社トプコン
企業名 | 株式会社トプコン(TOPCON CORPORATION) |
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業種名(日経業種分類/東証業種名) | 精密機器/精密機器 |
主な事業内容 | 医(ヘルスケア)・食(農業)・住(建設)のグローバル市場におけるDXソリューション(デジタル化、自動化、ネットワーク技術など)の提供 |
DXに関連する備考 | 「DXグランプリ2023」に選定 「DX銘柄2024」における「DXプラチナ企業2023-2025」に選定 |
参考 | 経済産業省:デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄) トプコンのデジタルトランスフォーメーション(DX) |
株式会社トプコンは、精密機器の「開発」にとどまらず、AIなどの先進技術を用いてさまざまな事業のデータを一元管理することで、人の手に頼らざるを得なかった従来の事業方式をデジタル化、自動化、ネットワーク化し課題解決を総合的にマネジメントする企業です。
キャッチフレーズは「尖ったDXで、世界を丸く。」。医(ヘルスケア)・食(農業)・住(建設)におけるグローバル市場で、従来の作業プロセスを革新するDXソリューションを提供しています。2024年には経済産業省・東京証券取引所による「DX銘柄」の中から、「DXプラチナ企業」に選出されました。
②コマツ(株式会社 小松製作所)
企業名 | コマツ(株式会社 小松製作所) |
---|---|
業種名 (日経業種分類/東証業種名) | 機械/機械 |
主な事業内容 | 建設・鉱山機械、ユーティリティ(小型機械)、林業機械、産業機械など |
DXに関連する備考 | 「DX銘柄2024」における「DXプラチナ企業2023-2025」に選定 |
参考 |
「DXプラチナ企業2023-2025」に選定されました コマツのデジタルトランスフォーメーション戦略 |
コマツ(株式会社 小松製作所)は、生活を支えるさまざまな「現場」を支え、活躍する土木作業機械の製作、販売などを行っています。それだけでなく、現場に入る企業や作業員を支える仕組みを提供しています。具体的には「施工プロセス全体をデジタルでつなぎ、最適化するソリューション(コト)」「安全で環境に優しい、高効率な製品(モノ)」を両方ともに提供することで、よりクリーンで、より安全性の高い現場の環境を実現します。このためにデータ活用やデジタル技術が用いられており、DXプラチナ企業2023-2025に選定されました。
【参考】日本の製造業の発展と課題|2025年の崖とは
日本においてはトヨタ生産方式に代表される「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」、それらを用いた「製造工程の効率化」がDX以前から採用され、日本の製造業をリードしてきました。製造業におけるDXはこの流れもくみつつ、それぞれの企業がデジタル技術を活用して従来の製造プロセスやビジネスモデルを根本から変革し、市場における競争力を向上させるとともに新しいイノベーションを生み出す取り組みを進めています。
日本は「ものづくり大国」と言われるほど製造業が重要な基幹産業となっているものの、DX導入は他業種より遅れており、「2025年の崖」の提言などに見られるように、今後の日本の最重要かつ喫緊の課題となっています。
DX導入によりサプライチェーン全体の可視化・最適化、生産性と効率化の向上、品質改善、コスト削減、新たなビジネスモデルの創出や収益モデル構築、顧客ニーズに合わせたカスタマイズ製品やサービスの提供が容易になることが期待できます。
【事例2】卸売業・小売業のDX2選
卸売業、小売業を行う企業のDX事例を紹介します。
③マクニカホールディングス株式会社
企業名 | マクニカホールディングス株式会社 |
---|---|
業種名 (日経業種分類/東証業種名) | 商社/卸売業 |
主な事業内容 | 半導体・集積回路等の電子部品の輸出入、販売等を行う会社の経営管理、関連業務など |
DXに関連する備考 | DX銘柄2024に選定 |
参考 | マクニカホールディングス、「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2024」に認定 |
マクニカホールディングス株式会社は、事業基盤となるCPSプラットフォームで収集したデータを用いたデジタル技術による基盤システムの構築や提供を行っています。またゼロトラストネットワークの構築、サイバー攻撃に備えたSOC、CSIRTなどの体制構築により、サイバーセキュリティ対策の推進も強化しています。これによりDX銘柄2024に選定されました。
④トラスコ中山株式会社
企業名 | トラスコ中山株式会社 |
---|---|
業種名 (日経業種分類/東証業種名) | 商社/卸売業 |
主な事業内容 | 卸売業専門商社 |
DXに関連する備考 | 「DX銘柄2024」における「DXプラチナ企業2023-2025」に選定 |
参考 | 「DXプラチナ企業2023-2025」に選定! |
トラスコ中山株式会社は、卸(問屋)事業に徹し、販売店・メーカー・ユーザーの利便性を向上させるため、「商品・物流・販売・デジタル・人材」5つに対する戦略を実行、サプライチェーン全体の合理化と最適化を図る独自のビジネスモデルを構築しています。
豊富な品揃えと在庫を切らすことなく、必要なときに必要なものを迅速に届けられる仕組みづくりを、デジタル技術を用いて実現しています。これによりDX銘柄2024におけるDXプラチナ企業に選定されました。
【事例3】金融業のDX2選
金融業におけるDXの事例を紹介します。
⑤東京センチュリー株式会社
企業名 | 東京センチュリー株式会社 |
---|---|
業種名 (日経業種分類/東証業種名) | その他金融業/その他金融業 |
主な事業内容 | 金融・サービス業、リース事業、ほか |
DXに関連する備考 | 「DX銘柄」DX注目企業2024に選定 |
参考 | ― |
東京センチュリー株式会社は、時代の変化と顧客ニーズを捉えた金融・サービス事業をベースに、既存事業の成長とM&Aで事業領域を拡大。レンタカー、エネルギー、不動産、航空機事業を通じ、アジアを中心としたグローバルネットワークを形成し、さらなる事業成長を続けています。これらの成長にDXを導入、IT、モビリティ分野(船舶、航空機など)にも注力し、DX注目企業2024に選定されました。
⑥株式会社ふくおかフィナンシャルグループ
企業名 | 株式会社ふくおかフィナンシャルグループ |
---|---|
業種名 (日経業種分類/東証業種名) | 銀行/銀行業 |
主な事業内容 | 銀行、その他銀行法により子会社とすることができる会社の経営管理およびこれに付帯関連する業務 など |
DXに関連する備考 | 「DX銘柄」DX注目企業2024に選定 |
参考 |
デジタルトランスフォーメーションの推進強化について ~日本IBMとの戦略的パートナーシップ締結と次世代基幹系システムの構築~ |
株式会社ふくおかフィナンシャルグループは2007年の設立以降、福岡・熊本・長崎の3県を中心に九州全域に広がる広域展開型地域金融グループとして成長しました。地域社会に貢献すべく、持続可能な地域社会を実現していくため、2030年達成を目標とする長期ビジョンを策定、さらなる発展と成長を続けています。日本IBMとの戦略的パートナーシップ締結などDX推進が評価され、DX注目企業2024に選定されました。
【事例4】医薬品業のDX1選
医薬品業のDX事例を紹介します。
⑦中外製薬株式会社
企業名 | 中外製薬株式会社 |
---|---|
業種名 (日経業種分類/東証業種名) | 医薬品 |
主な事業内容 | 医薬品の研究、開発、製造、販売および輸出入 |
DXに関連する備考 | 「DX銘柄2024」における「DXプラチナ企業2023-2025」に選定 |
参考 | 経済産業省「中外製薬のDX推進への取り組み」 |
中外製薬株式会社は、多種多様な薬の売り上げで国内トップを誇る医療用医薬品メーカーです。戦略パートナーであるロシュ社と提携していますが(ロシュ社が訳60%の株式を保有)、独立上場企業として自主的な経営を行っています。独自の創薬技術力を誇り、国産初の抗体医薬を創製した実績や、世界トップクラスの技術力を持っています。
デジタル技術を活用した継続的な高いレベルの医薬品提供を実現しており、事業全体の効率化を進めています。これらを基にしたサービス提供により、社会全体を変えてゆくことを社是としています。
【事例5】建設業・不動産業のDX2選
建設業、不動産業のDX事例を紹介します。
⑧清水建設株式会社
企業名 | 清水建設株式会社 |
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業種名 (日経業種分類/東証業種名) | 建設/建設業 |
主な事業内容 | 建設事業(建築、土木、海外建設)ほか4分野(「不動産開発」「エンジニアリング」「LCV(ライフサイクル・バリュエーション)」「フロンティア」) |
DXに関連する備考 | 「DX銘柄2023」に選定(3年連続) |
参考 |
「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」に3年連続で選定 シミズのDX |
清水建設株式会社は、2021年から2023年まで、3年連続でDX銘柄に選定されました。
これまで培ってきた建設事業とともに、非建設事業へも事業進出。枠組みを超えた挑戦と共創を通じ、「時代を先取りする価値」を創造することで、豊かで持続可能な社会環境の実現に貢献するとしています。
またDX推進においては「人財」の活用を進め、社内育成だけでなくキャリア採用を行うなど、組織体制づくりにも柔軟性をもって取り組んでいます。これらの点が評価されDX認定企業に選定されました。
清水建設様はスキルアップAIの研修も受講いただいておりました。インタビュー記事もご参考までにご確認ください。
https://www.skillupai.com/private-training/success_stories/shimizu/
⑨SREホールディングス株式会社
企業名 | SREホールディングス株式会社 |
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業種名 (日経業種分類/東証業種名) | 不動産/不動産業 |
主な事業内容 | 不動産テック事業(AIクラウド&コンサルティング事業、ライフ&プロパティソリューション事業) |
DXに関連する備考 | 「DX銘柄」DX注目企業2024に選定 |
参考 | 「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021」および「DXグランプリ2021」に選定 |
リアルエステート(現物不動産)の査定や売却、仲介、不動産投資や資産活用の相談なども取り扱う不動産事業者です。SREホールディングスがすでに複数回DX銘柄として選定されているのは、不動産×AIの組み合わせで、不動産取引に新しい価値を作り出し、顧客への選択肢を増やしたこと、従来は不透明でわかりづらかった不動産取引に公平性や透明性を導入したことが評価されます。現在は不動産テック企業としても成長を続けています。
【事例6】農林水産業のDX1選
農林水産業のDX導入事例を紹介します。
⑩マルハニチロ株式会社
企業名 | マルハニチロ株式会社 |
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業種名 (日経業種分類/東証業種名) | 水産/水産・農林業 |
主な事業内容 | 漁業、養殖 水産物の輸出入・加工・販売 冷凍食品・レトルト食品・缶詰・練り製品・化成品の製造・加工・販売 ほか |
DXに関連する備考 | 2023年7月1日「DX認定事業者」に認定 2024年「DX注目企業2024」に選定 |
参考 | ニュースリリース(2024年5月30日)経済産業省主催の「DX銘柄2024」における「DX注目企業2024」に選定 |
マルハニチロ(株)は、水産業を中心に輸出入と加工食品の製造販売などを幅広く行う、日本を代表する企業です。従来から「海といのちの未来をつくる」ことをブランドステートメントとし、海を守り持続可能な環境と社会を目指すSDGsの活動も行っています。
DX導入においては、「MNDX(デジタル技術などを活用し、全社員の意見を基に行われる“変化し続ける”ための取り組み)」を実施しています。これにより生産性向上や新たな価値創造、持続可能な社会づくりへの貢献に対する取り組みを進め、事業活動の変革を継続的に行っていることで、2024年のDX注目企業に選定されました。
【参考】DXにより進化する農林水産業
農林水産業においては、第一次産業であることや後継者不足などからDXが困難であると考える向きもありました。しかし、現在は農林水産省や水産庁、地方自治体、JA、各農家や水産事業者が主体となり、「スマート農業」「スマート水産業」など、DX導入による効率化を模索し推進しています。人手不足を自動化で対応し、天候による影響をできるだけ少なくするためのビッグデータの活用、AIの導入、人材育成などが進められています。
(参考)
水産庁:「スマート水産業の展開について」
農林水産省:農業DXの取組事例
山口県・JA山口県:「山口県が目指す農業DX」
【事例7】エネルギー業のDX1選
エネルギー業はガス・電気などを指します。インフラの中でも非常に重要な業種のため大手がほとんどですが、その中で中国電力(株)を紹介します。
⑪中国電力株式会社
企業名 | 中国電力株式会社 |
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業種名 (日経業種分類/東証業種名) | 電力/電気・ガス業 |
主な事業内容 | 社会インフラとしてのエネルギー施設の管理運営と生産、燃料輸入、電力やガスの提供 ほか |
DXに関連する備考 | 2017 攻めのIT経営銘柄に選定 |
参考 | 2024年7月2日 経済産業省が定める「DX 認定」取得 |
中国電力株式会社は、経営理念を「信頼。創造。成長。」、すなわち顧客に信頼され、エネルギーを通じた未来の創造、地域とともに成長する企業を目指しています。現在のDX銘柄が設立される以前から「IT構想」を5年ごとに策定しており、グループ全体において最適なITの活用に取り組んできました。
社会基盤を守ることを最重要ミッションとして掲げており、大規模災害等で一方のセンターが機能不全になっても、他方のセンターで業務システムを稼働させることが可能とするシステム導入を行って信頼性を向上、地域社会の貢献を続けています。2024年にはDX認定を取得しました。
【事例8】IT・情報・通信などにおけるDX2選
IT・情報・通信などの業界におけるDXを紹介します。⑫株式会社大塚商会
企業名 | 株式会社大塚商会 |
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業種名 (日経業種分類/東証業種名) | サービス/情報・通信業 |
主な事業内容 | システムインテグレーション事業、サービス&サポート事業、ホテル事業 ほか |
DXに関連する備考 | 「DX銘柄」DX注目企業2024に選定 |
参考 |
DXをどこから舵切りをしていいか分からない担当者様へ 2024年の「DX注目企業」に初選定 |
株式会社大塚商会は、近年の事業のインフラとして欠かすことのできないIT機器、システムの開発や導入などを行う「システムインテグレーション事業」を中心として行っています。さらに導入したシステムやソリューションの保守や修理、部品調達など運用面での「サービス&サポート事業」も行います。
この2つの事業を「ワンストップソリューション」として連携し、顧客の課題や要望に対して解決策を提案するなど、IT活用を継続的に支援しています。
またシステムインテグレータとして、DXの導入に困っている企業に向け、DX統合パッケージというソリューション、トータルマネジメントサービスを用意し企業のDX導入をサポートしています。これらの取り組みから、2024年DX注目企業に選定されました。
⑬ソフトバンク株式会社
企業名 | ソフトバンク株式会社 |
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業種名 (日経業種分類/東証業種名) | 通信/情報・通信業 |
主な事業内容 | コンシューマ事業、エンタープライズ事業、ディストリビューション事業、メディア・EC事業 ファイナンス事業 ほか |
DXに関連する備考 | DX銘柄2024に選定 |
参考 | 4年連続! ソフトバンクが「DX銘柄2024」に選定されました |
ソフトバンク株式会社の事業内容は個人向けのモバイルサービス、ブロードバンドサービスおよび電力サービス、端末の販売、エンタープライズ事業ではデータセンター、クラウド、携帯端末レンタルなど法人向けのソリューションを提供しています。その他、「Yahoo!ショッピング」「ZOZOTOWN」などのeコマースサービスなども展開、PayPayによるQRコード決済やクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービス、スマホ証券サービスなども近年では展開し、巨大な商圏を作り上げてさらなる成長が期待できます。
ソフトバンク株式会社は、2024年「DX銘柄」に選定されており、これは4年連続の快挙です。4年連続での選定は、情報・通信業においては唯一の企業となります。
【事例9】運輸業におけるDX2選
運輸業には陸運・空運・海運があります。ここでは2つの事例を紹介します。
⑭ヤマトホールディングス株式会社
企業名 | ヤマトホールディングス株式会社(YAMATO HOLDINGS CO., LTD.) |
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業種名 (日経業種分類/東証業種名) | 陸運/陸運業 |
主な事業内容 | 「宅急便」など各種輸送に関わる事業 ほか |
DXに関連する備考 | 「DX銘柄」DX注目企業2024に選定 |
参考 |
「デジタルトランスフォーメーション銘柄2024」の「DX注目企業2024」に選定 「Oneヤマト2023」の改革を支えるデジタル戦略の推進 |
ヤマトホールディングス株式会社は「クロネコヤマトの宅急便」で有名な、各種輸送を請け負う運輸業を行っています。現在は運輸事業だけでなく、ノウハウを活かしたロジスティクス事業、モビリティ事業、さらに海外向けのエクスプレス事業ソリューションの輸出も行っています。
情報をリアルタイムに取得し顧客へのサービスに生かすシステムと体制づくりから、さらに「ネットワーク・オペレーション構造改革」の推進、「環境負荷の少ないサプライチェーン構築」の推進など幅広くDXとSDGs、サステナブルな環境づくりとステークホルダーへの貢献に取り組み、その実績でDX注目企業2024に選定されました。
⑮アジア航測株式会社
企業名 | アジア航測株式会社 |
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業種名 (日経業種分類/東証業種名) | 空運/空運業 |
主な事業内容 | 航空機使用事業、測量業、建設コンサルタント ほか |
DXに関連する備考 | 「DX銘柄」DX注目企業2024に選定 |
参考 | 経済産業省が選定する「DX認定事業者」に認定されました |
アジア航測株式会社は空間情報コンサルタント、航空機使用事業のほか、建設、測量、派遣事業まで幅広い事業を行う企業です。主要戦略として「AAS-DX(社会基盤の在り方を、「空間情報」で予測し提案する新たなイノベーションの創出)」を行っています。「センシングイノベーションが生活・インフラに融合した未来社会の構想」と「経営戦略を強力に推進するIT基盤整備」を進めることで、2022年にはDX認定事業者に認定されました。
【事例10】地方自治体・学校法人などのDX3選
地方自治体や学校法人におけるDX導入の事例と、それを用いた地域社会発展への取り組みを紹介します。
⑯大阪府堺市
企業名(事業者名) | 大阪府堺市 |
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業種名 | 地方自治体 |
主な事業内容 | 「堺DX推進ラボ」による地域価値向上プロジェクト。 市内企業のデジタル化・DX推進に向け、堺市内の公的支援機関や金融機関、IT企業等と連携し、支援体制の構築、地域全体の生産性や付加価値向上を目指す。 |
DXに関連する備考 | 令和5年10月6日 経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)による「地域DX推進ラボ」に選定 |
参考 | 「堺DX推進ラボ」が地域DX推進ラボに選定されました! |
大阪府堺市は、堺市内全体の生産性や付加価値を高めるため、DXを市内各機関と連携して進めています。具体的には堺市内のさまざまな事業者のデジタル化、スマート化状況を「堺DX診断」によってデータを収集(データ収集は市内の提携事業者や機関が行う)。蓄積した事業者からの回答データを中小企業などに共有し、見つかった課題に対して、地域ぐるみで弱点補強としてデジタル化およびDX推進を支援するものです。
2023年には経済産業省とIPAが共同で進める「地域DX推進ラボ」にも選定されました。
⑰富山県
企業名(事業者名) | 富山県 |
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業種名 | 地方自治体 |
主な事業内容 | 地方自治体としての活動 |
DXに関連する備考 | デジタル化・DXの推進について |
参考 | 富山県立大学 DX教育研究センター |
高齢化が全国を上回るスピードで進み、生産年齢人口の減少著しい富山県では、デジタル化、DX推進を進めることでより効率的に県民へのサービスを、質を落とさず提供できるように改善を進めています。
具体的には、行政手続きオンライン化の推進、「ワンチームとやま」としての市町村との連携と自治体クラウドの推進、DX・働き方改革推進本部の設置など体制強化、富山大学と連携した教員向け研修や社会人向け研修など、DX人材の育成が行われています。また小中高校等へのICT教育の充実なども進めています。
⑱岡山大学
企業名(事業者名) | 国立大学法人 岡山大学 |
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業種名 | 教育 |
主な事業内容 | 教育、地域との連携 |
DXに関連する備考 | 「DXSUN(DXサンライズおかやま)」の発足と地域連携による大学の知見やノウハウの提供 ほか |
参考 |
岡山大学におけるDX推進活動について 経済産業省:「DX 支援ガイダンス 別冊事例集」 |
国立大学が地域へのDX推進に貢献している事例になります。
岡山大学は岡山県、中国地方の中核を担い、これまでもデジタル人材育成やAI研究拠点の整備などを行ってきました。しかし一方、大学の機能や共創の場が十分に県内の中小企業などに利用されているとは言い難く(調査時点で1%未満)、地域のDX推進のために大学だけでなく大学以外の組織との連携が不可欠と判断。県内支援機関と連携してDX支援コミュニティ「DX サンライズおかやま(DXSUN)」を発足しました。
この取り組みにより、複数事業を運営する地元企業に対し課題の抽出、戦略策定、ソリューション導入、データ提供と利活用などの支援を実施し、成果を上げています。
【参考】DXを阻むレガシーシステムとその弊害
行政を担う官公庁や地方自治体でもDXはさまざまに進められています。
一方で、地方の小規模な自治体などでは、デジタル化、IT化へのノウハウやスキル、IT人材、DX導入のための予算が不足している傾向があります。そのため旧来のレガシーシステムを現在も使い続け、新しいシステム導入をしたくてもできないという問題も出ており、大きな課題となっています。
もちろん地方自治体に限らず、日本の多くの中小企業はこの問題を抱えており、人材育成や後継者、事業承継の問題とともに迅速に対応すべきと国も注視しています。
※レガシーシステム:「技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化等の問題があり、その結果として経営・事業戦略上の足かせ、高コスト構造の原因となっているシステム」
(出典)経済産業省:「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(本文)」
(参考)
総務省:自治体におけるDX推進の意義
デジタル庁:自治体DXの取組に関するダッシュボード
【事例11】教育関連におけるDX
教育DXもコロナ禍を経て大きく進化しました。教育DXは、デジタル技術の導入にとどまらず、従来型の教育環境や指導方法を改革、変革させることを目指します。
例えば、紙の教科書ではなくタブレット端末を各生徒に配布し使用する、小テストなどはタブレットで行い自動で採点する、生徒一人ひとりの学習状況を指導者、保護者、生徒がオンラインでリアルタイムにチェックできるシステムの導入、映像授業などの利用による教育レベルの担保と教員の負担軽減、などが挙げられます。
また文部科学省が定める学校に限らず、塾などを経営する事業者でも、DXによるスマート化が進められています。
教育DXで成果を上げた自治体や教育委員会、学校を表彰する、一般社団法人 ICT CONNECT 21による「教育DX推進自治体表彰」などがあります。実際の事例として参考にしてみてください。
(参考)
教育DX推進自治体表彰2023について
文部科学省:GIGAスクール構想について
【事例12】海外企業におけるDX3選
海外企業は日本企業よりもDXが進んでおり、新しい価値観やアイデアを次々に創出しています。ここでは代表的なものを紹介します。
⑲IKEA(イケア)
IKEAはスウェーデンの家具メーカーで、日本でも出店を進め事業拡大しています。家具の企画・製造・販売だけでなく、配送や組み立てサービスなども自社で行っています(2017年、オンラインプラットフォームTaskRabbitとの提携により実現)。これにより自分で組み立てや持ち帰りができない顧客もIKEAを選択肢から外すことが減るようになりました。
またスマートホームプロジェクトの実施や、店舗で購入前にAR(拡張現実)の技術を使って、仮想的に自宅に家具を配置するサービスなども提供しています。
⑳Netflix(ネットフリックス)
Netflixは、1997年に設立されたDVDレンタルサービスが始まりでした。現在は世界的な動画配信(ライブストリーミング)サービス提供企業に成長しています。
競合する他の従来のビデオレンタル事業者との競争に勝って大手として成長したのち、2010年前後からストリーミング事業をレンタル事業よりも重視する流れに転換。またオリジナルコンテンツを作成して配信するなど革新的な方法をもたらしました。この結果、Netflixは2022年に約300億ドル以上の評価額に達しています。すでに成功した体制に固執するのではなく、自ら新しいサービス、事業形態へ乗り換え成功しているという点が大きな特徴です。現時点で、最も成功したDX事例の一つと言えるでしょう。
㉑Tesla(テスラ)
Teslaは、2003年に「テスラモーターズ」として設立され、2008年にイーロン・マスクがCEOに就任したアメリカの電気自動車(EV)およびクリーンエネルギー企業です。
テスラの革新的なアイデアは電気自動車そのものの製造はもちろんですが、最も大きく世界の自動車産業界を驚かせたのは、まるでスマートフォンのように自動車の主要機関をリモートで「更新」していくというものでした。初めはコネクテッドカーとしてインターネットと接続しアクセサリなどの更新を行うものでしたが、現在はSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル=ソフトウェアによって定義される自動車)の開発企業として実績を上げています。
SDVはこれまでの自動車メーカーが信じていた「エンジンこそが自動車の心臓」という概念をくつがえしました。今後はソフトウェアの性能が自動車の性能を左右するという段階まで来ています。日本のトヨタ自動車などの大手自動車メーカーも、電気自動車に限らずこのコネクテッドカー、SDVへの転換を進めています。
さらに、デジタル化した自動車はデータ蓄積により制御などが容易になるため、スマートシティと自動運転の実現が期待されています。

DX推進が成功した企業の共通点
DXを成功させるためには、単にデジタル技術を導入するだけでなく、組織全体で業務プロセスや企業風土の進歩に取り組む必要があります。日本での成功事例に共通して見られる3つの要素について解説します。
人材確保・人材育成を行う
DX推進には、デジタル技術に関する知識やスキルを持った人材が不可欠です。成功企業は、専門知識を持つ人材の採用や育成を積極的に行っています。社外から採用のほか、社内従業員に対して研修や教育プログラムを提供することも外部のITベンダーなどと連携して行うことが多いです。DX人材を確保することで、スムーズにDXを推進できるでしょう。
ただし日本は慢性的なIT人材不足と言われます。貴重なIT人材も旧式のレガシーシステムの修繕などにリソースを割かれていることも多くあります。そのため組織全体の変革を行うことが喫緊の課題になります。
体制構築を行う
DXを成功させるためには、組織全体の体制を整備することが重要です。成功企業は、DX推進組織の設置と責任者の任命を行い、より風通しよく、迅速な意思決定ができるようにしている傾向があります。
また経営陣がDXを最重要課題として位置づけ、積極的に推進しているかどうかもポイントになります。理解がない経営陣の場合、短期的な視点しか持てず、DXがなにかもよくわからないまま、途中で推進していたDXを打ち切るおそれもあります。
またDXは、IT部門だけでなく、営業部門、生産部門など、「最終的に」さまざまな部門が連携して取り組まなければなりません。なぜならDXは企業の業務プロセスや全体の流れを一元管理することでムダをなくし、コスト削減を実現し、効率化を高めて企業の価値と売り上げを上げることが目的だからです。
小さく始め、少しずつ拡大する
DXは、いきなり大規模なプロジェクトから始めるのではなく、まずは小さな取り組みから始めることが重要です。成功企業は、最初は実験的に一部門や部署から始め、徐々に企業全体にDXを進めています。
PoC(概念実証)の実施を行い、新しい技術やサービスを実際に試してみることで、効果を検証するほか、従業員全体への情報共有によりモチベーションを高めたうえで、段階的に成功した取り組みを少しずつ拡大していきます。最終的には組織全体にDXを展開することが目的です。
小さく始めることには理由があります。いきなり全社で始めても、変化にとまどい反発する社員もいるでしょう。また万が一失敗した場合、大きな損失を伴います。
小さな単位で試行錯誤しながら進めることで、課題があれば改善することができます。また意思決定も少人数で始められるほうが、認識の齟齬などが起こりづらいと考えられます。
徐々にデジタル化、IT化、データの一元管理、共通データを複数の部門で連携することで、従業員たちも利便性や効率性に気づき始めます。またムダをなくすことでコスト削減やリードタイムの短縮が実現し、利益につなげられるでしょう。
まとめ
この記事では、DXを導入し成功している企業の事例を業種ごとに紹介しました。
生成AIを活用した事例を知りたい方は「【業界別】企業の生成AI活用事例18選|導入ステップも紹介」記事をご確認ください。
DXを成功させるためには、人材の確保、組織や体制の改変、そして取り組み方という3つの要素が重要です。これらの要素を同時に改善していくことで、企業はDXを成功させる確率を高めることができるでしょう。
DXは一朝一夕に結果が出るものではありません。最初は小さな取り組みから始め、組織全体で継続的に進めていくことが重要です。また失敗を恐れずに、新しいことに挑戦すること、それを是とする企業風土や経営陣など上層部の意識も重要です。DXの成功事例を参考に、自社の状況に合わせて具体的な施策を検討し、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
(参考資料)
経済産業省:デジタルガバナンス・コード 2.0
情報通信白書令和3年版>デジタル・トランスフォーメーションの定義
DX推進指標(サマリー)
「DXの成功要素とDX人材の育成について」岸 和良, 情報の科学と技術 71 (7), 290-295, 2021-07-01, 一般社団法人 情報科学技術協会
経済産業省・PwC:「製造業DX取組事例集」
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