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AI活用・DX推進に有効なリスキリングの取り組み 主な事例と進め方のポイントを紹介
社会や技術が素早く変化する中で、これまで獲得してきたスキルが陳腐化してしまい、新しい業務やビジネスに対応できなくなってしまうという懸念が生まれています。このような中、企業にはリスキリングを通して自社の従業員のスキル獲得を支援し、自社の競争力を維持・向上していくことが求められています。
それでは、先進的な企業ではどのような取り組みが進められているのでしょうか。この記事では、リスキリングの事例について紹介します。
1. リスキリングとは
まず初めに、リスキリングという言葉の定義や、リスキリングが注目されている理由など、リスキリングの基本的な内容についてご紹介します。
リスキリングの概要
リスキリングとは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義(※)されます。近年では、DXの潮流に代表されるようにビジネスにおいてデジタル技術を活用する「デジタル化」が進展しています。
あらゆる業界・ビジネス・仕事においてデジタル技術が活用されるようになる中で、仕事の進め方やニーズのある職種は変化していきます。これらに対応すべく、新たなスキルを習得することが求められているのです。
なぜリスキリングが注目されているのか
デジタル化された社会に対応するために、企業は業務プロセスや事業をデジタル化する必要があります。このようなDXの取り組みを行う際、もしくはDX化された後のビジネスを実行していく際には、デジタルのスキルを持った人材が必要です。
デジタル化の進展とともに、世界においては早くからリスキリングの必要性が注目されていました。日本においても、経済産業省が旗振り役となりリスキリングの取り組みが進められている状況にあります。
※ 経済産業省 デジタル時代の人材政策に関する検討会 審議会資料「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」p6より引用
以下では、AIなどデジタル技術獲得のためのリスキリングに取り組む企業の事例を紹介します。
2.事例①:ソニー
電子機器メーカーであるソニーでは、同社の社員約4万人を対象にAIに関する研修を提供しています。同社では、社員のレベルに合わせて、AI活用の考え方や独学法、活用できるツールなどについてオンラインで学習できる環境を提供。社員の基本的なスキルとしてAIを活用できるようにすることで、サービスや製品品質の向上につなげることを目指しています。
参考:日本経済新聞「ソニーG、社員4万人にオンラインでAI研修」
3.事例②:富士通
大規模なリスキリング施策を発表して話題になったのが日本の情報通信機器メーカーである富士通です。同社では「ITカンパニー」から「DXカンパニー」を目指すことを標榜し、グループ会社も含めた全13万人のリスキリングを推進。オンライン学習プラットフォームを活用した教育機会の提供やビジネスプロデューサーの育成研修などを実施しています。
同社では、「デザイン思考」「アジャイル」「データサイエンス」の3つの分野における共通のスキルと知識をDXリテラシーとして定義し、実践的なスキル習得を可能とする講座を開発しています。制度面でも、ポスティング制度の拡充やジョブ型人事制度を導入するなど取り組みを進め、新たな価値の創出に貢献するビジネスの拡大を目指しています。
参考:富士通「価値創造に向けた人材・組織の変革」
4.事例③:カゴメ
食品加工業を営むカゴメでは、2021年より機械学習やデータ分析に関する研修の提供を開始。同社では、DXに関するスキルをレベル1から5まで設定し、スキルに合わせた研修プログラムを用意しています。
このようなリスキリング施策は、スマホでトマトを育てるアプリ「ベジホーム!」のローンチなど、DX推進の成果につながりつつあります。
参考:カゴメ株式会社 当社事例「DX人材の内製化を推進するオーダーメイドの研修。PX(パーソナル・トランスフォーメーション)実現へ。」
5.事例④:デンソーテクノ
自動車機器メーカーであるデンソーのグループ会社であるデンソーテクノでは、AI人材の育成に向けた研修制度の導入を実施しています。同社では、AIの活用が進む自動車産業において自社のスキルレベルが追い付いていないという危機感を踏まえ、E資格の取得などリスキリングを推進。当初は危機感から始めた取り組みでしたが、次第に取り組み自体に興味を持つ社員も増加し、現在では、全社員の1/3がAIについてのスキル習得に取り組んでいます。
参考:デンソーテクノ株式会社 当社記事「AIの面白さに気づかせてくれた研修プログラム 全社員のAIリテラシー底上げから、実用化フェーズへ」
6. リスキリング施策を進める上でのポイント
リスキリング施策を進める上では、どのような点がポイントとなるのでしょうか。以下では2つのポイントを紹介します。
レベルに合わせた研修制度の準備
リスキリング施策として研修を用意する際に重要なのが、レベル別の研修制度の準備です。DXやAIに関する知識が少ない方に対しては、広く共通的な学習コンテンツを用意しつつ、ある程度のスキルを持っている方に向けては、深く専門的なコンテンツを用意します。これにより、自社従業員のスキル底上げとビジネス上の競争力となる専門性という2つの成果を挙げることにつながります。
また、まずは知識のある人を選別し研修を受けてもらうなど、段階的に学習を進める方法も有効です。選別メンバーによる成功事例は、他のメンバーの刺激や経営層へのアピールにもなり、次の層への研修にもつながりやすくなります。
長期的な育成目標の定義
短期的に従業員のスキルを向上させることは難しく、リスキリングの取り組みは息の長いものとなります。よって、ゴールとして「いつまでに」「どの分野のスキルを」「どの程度の人数が」「どのレベルまで」備えていることを目標とするかを定義しつつ、ロードマップにより段階的にどのように進めていくかを検討します。
たとえば、年度ごとに目標人数をKPIとして定義し、まず今年の目標達成に向けて取り組むような進め方も有効でしょう。
7.まとめ
この記事では、先進的な取り組みを行っている企業のリスキリングに関する事例について紹介しました。目まぐるしく進化していく技術をビジネスに活用していくためには、継続的にリスキリングに取り組んでいく必要があるのではないでしょうか?
当社では、リスキリングに有効となるDX/AIに関する法人向け研修プログラムを提供しております。高い専門性と経験豊富な講師陣が「実務で活用できる知識」を伝える研修は、これまで650社以上にご利用いただいております。受講者の方のレベルに応じて、初学者から高度人材にまで対応したメニューをご提供しています。
リスキリングの進め方のポイントを検討していくにあたっては、まずそれを検討していく組織や部署をつくることが大切です。「自社にあったDX組織のつくり方」というテーマで資料をご用意しておりますので、これから組織作りを始めていかれる方はこちらもぜひご覧ください。
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