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生成モデルでも特許を取れるって本当!?
スキルアップAIの小縣です。
生成モデルの1つである StyleGAN も特許出願されていることをご存知でしょうか?
AIアルゴリズムの特許といえば、バッチ正規化やドロップアウトが有名ですが、実は他にもたくさんのアルゴリズムが特許化されています。 これら特許化されたアルゴリズムを商用目的で勝手に用いると、特許侵害になりますので、特許権者の企業から訴訟を起こされる可能性があります。
「このアルゴリズムは論文で発表されているから大丈夫」「このアリゴリズムはGitHubで公開されているから大丈夫」ではありません!しっかりと特許に関する知識を身につけ、多大な損失を未然に防ぎましょう。
1.SyleGANの特許公開情報
StyleGAN の論文は A Style-Based Generator Architecture for Generative Adversarial Networks です。そして、この論文に対応する特許公開情報が STYLE – BASED ARCHITECTURE FOR GENERATIVE NEURAL NETWORKS です。arXiv への v1 投稿日が2018年12月12日であり、特許申請日が2018年11月14日です。 このことより、論文を発表する1ヶ月前に特許を申請していたことがわかります。発明者(Inventors)を見ると、論文の著者である、Tero Karras, Samuli Laine, Timo Aila の3名となっています。特許書類内には、論文内で用いられている写真や図が掲載されています。図1と図2は、特許書類から引用したものです。
この特許は米国で出願されたものですが、この特許が登録された後に、日本の企業が StyleGAN を用いたウェブサービスを提供する場合、それが米国内で利用できるのであれば、この特許を侵害する可能性があるので十分に注意が必要です。
StyleGAN の仕組みについては、2020年時点で最も注目される生成モデル StyleGAN をご参照ください。
図1. ブロックダイアグラム
(参考文献[2]より引用)
図2. 生成画像例
(参考文献[2]より引用)
2.その他のAIアルゴリズム特許
特許化されている AI アルゴリズムはたくさんあります。一例を以下に示します。
アルゴリズム・手法 | 特許登録日 | 特許登録番号 | 特許権者 |
---|---|---|---|
ドロップアウト | Aug 2, 2016 | US 9,406,017 B2 | |
バッチ正規化 | Sep 17, 2019 | US 10, 417,562 B2 | |
GoogLeNet | Jul 25, 2017 | US 9,715,642 B2 | |
Faster R-CNN | Jan 2, 2018 | US 9,858,496 B2 | Microsoft |
蒸留 | May 14, 2019 | US 10,289,962 B2 | |
Transformer | Oct 22, 2019 | US 10,452,978 B2 | |
Mask R-CNN | Jul 14, 2020 | US 10,713,794 B1 |
3.おわりに
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4.参考文献
[2] STYLE – BASED ARCHITECTURE FOR GENERATIVE NEURAL NETWORKS
【監修】スキルアップAI 取締役CTO 小縣信也
AI指導実績は国内トップクラス。「太陽光発電発電量予測および異常検知」など、多数のAI開発案件を手掛けている。日本ディープラーニング協会主催2018E資格試験 優秀賞受賞、2019#1E資格試験優秀賞受賞。著書「徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集」(インプレス)。
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