最終更新日:
エッジAIで利用されるエッジデバイスの紹介
こんにちは、スキルアップAIの松井です。
近年、エッジAIの必要性が増してきており、それに伴って、AIを動作させるためのエッジデバイスの多様化が進んでいます。インターネットで検索するだけでもわかるように、非常に多種多様な製品が販売されていますが、どういう用途のために、どういうデバイスを使えばいいのか、パッと最適なものが思いつく方は少ないのではないでしょうか?
そこで本記事では、エッジデバイスの流行りと簡単なメリット・デメリット・適した用途を紹介したいと思います。エッジデバイスとして広く利用されているものとして、シングルボードコンピュータとマイコンボードがあり、それぞれに得手不得手があります。この記事を読み、使用用途に最適なエッジデバイスを判断する際の参考になさって下さい。
1.シングルボードコンピュータ
本節で紹介するのは、主にLinuxやUbuntuなどのOSを活用することを主眼においたエッジデバイスです。単純なデータ処理のみではなく、AIによる推論を行う場合や、これ一つである程度全てを済ませたいというニーズがある場合に利用すると良いでしょう。
Raspberry Pi 4
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
適した用途 |
|
Raspberry Pi zero W
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
適した用途 |
|
Beagle Boneシリーズ
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
適した用途 |
|
Beagle Boneシリーズは、Raspberry Piを意識して開発された製品です。Raspberry Piをリスペクトした製品としてはこの他に、「Banana Pi」や「Orange Pi」などの製品が各社から販売されています。
ただ、いずれの商品も海外ECサイトでの販売のみに限られている場合や、技適(技術基準適合証明)マークを取得していないことから無線通信ができない場合があり、あまり実務向けではありません。
一方で、これらのリスペクト製品は、Raspberry Pi の欠点(主に処理速度)を改善しているものが多く、非常に限られた状況では選択肢の1つになります。
いずれにしても、電波法に抵触しないように、技適マークを取得しているものを用いた開発が必要です。
NVIDIA Jetson シリーズ
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
適した用途 |
|
Ticker Board
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
適した用途 |
|
シングルボードコンピュータのまとめ
LinuxをベースとしたOS上で動作するアプリケーションを用いたシステム開発という条件だけであれば、とりあえずRaspberry Piシリーズを利用するのが良いでしょう。Raspberry Pi は特にプロトタイピング用途に向いています。
しかし、開発途中で性能が物足りなくなったり、製品化を目指すようになった場合には、他のボードを試してみるのがおすすめです。
特に、近年重要視されつつある深層学習モデルを用いた開発では、Raspberry Pi を産業目的に使用することは効率的ではないことが多いです。
そのため、Raspberry Pi 上で動作確認をしてから、最新のJestonシリーズを利用してプロダクトにするということも視野に入れると良いでしょう。
2.マイコンボード
本節で紹介するのは、より低レベルの処理を行うための、OSを持たないエッジデバイスです。「低レベルなら選ぶ必要がないのでは?」と思うかもしれませんが、ここでいうレベルとは、処理のレイヤーのことを指します。低レベルな処理を得意とするマイコンボードは、非常に高速に、決められた処理をこなし、接続されたセンサの値を読み取ることができます。例えば、工場内のセンサデータを集めるだけの用途であれば、マイコンボードでも十分です。
マイコンボードは、単体ではなく、PCや上述したOSを伴うシングルボードコンピュータに接続して利用することが一般的です。
Arduino シリーズ
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
適した用途 |
|
mbed シリーズ
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
適した用途 |
|
ESPシリーズ(ESP32を搭載したマイコンボード群)
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
適した用途 |
|
M5Stackシリーズ
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
適した用途 |
|
M5Stick V
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
適した用途 |
|
マイコンボードのまとめ
数年前までは、マイコンボードといえばArduinoかmbedの2択でした。
しかし、ESP32というプロセッサを搭載したマイコンボードが販売され始め、更には、より初心者向けに、センサとマイコンボードがオールインワンとなったM5StackやM5Stickシリーズが発売されました。初心者向けといっても、その扱いやすさとできることの多さから、非常にファンが多い製品です。特に、M5Stick Vとその派生製品は、エッジデバイスで画像処理を行う場合のスタンダートなマイコンボードとなりつつあります。
3.おわりに
皆様の用途に合いそうなエッジデバイスは見つかりましたか?
本記事で紹介した製品の中で、エッジAIの構築におすすめなのは、「Raspberry Pi」、「Jetson」、「M5 Stick V」とそれらの派生製品です。
エッジデバイスでは各種センサデータを集めるのみで、AIの推論は別のPCで行う場合ですと、「Arduino」、「mbed」とそれらの派生製品が向いています。
ただし、処理速度や消費電力・発熱などは実際に動作してみないと分からない事が多いため、本記事で紹介したものを実際に購入して色々と試してみてください。
4.もっと詳しく学びたい方へ
スキルアップAIでは、関連講座として「エッジAI講座」を開講中です。 本講座では、Raspberry Pi を用いて、リアルタイムに物体検出を行う方法を学ぶことができます。ぜひ受講をご検討ください。
また、毎週水曜日に実践的AI勉強会「スキルアップAIキャンプ」を開催しています。勉強会では、様々な実践的テーマを取り上げ、データ分析・AI開発の実務力アップにつながるヒントをご提供します。講師が参加者の皆さんからの質問や悩みに答えるコーナーもあります。
興味がある方はぜひ参加してみてください!
【監修】スキルアップAI 取締役CTO 小縣信也
AI指導実績は国内トップクラス。「太陽光発電発電量予測および異常検知」など、多数のAI開発案件を手掛けている。日本ディープラーニング協会主催2018E資格試験 優秀賞受賞、2019#1E資格試験優秀賞受賞。著書「徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集」(インプレス)。
配信を希望される方はこちら
また、SNSでも様々なコンテンツをお届けしています。興味を持った方は是非チェックしてください♪
公開日: