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スマートな生活とは?IoTとAIの関係
こんにちは。スキルアップAIの松井です。
近年、コンピュータの小型化やAIアルゴリズムの進化に伴って、IoTとAIの関係性もより密接になりつつあります。
そこで今回は、今後IoTとAIを語る上で重要になるであろう、生活のスマート化に関して、最近の流行りとともに、様々な取り組みを紹介したいと思います。
「AIによって生活が豊かになる!」と聞いたことがある方がいるかもしれませんが、具体的に「何が?」「どう?」生活を豊かにするのかをイメージすることは中々難しいのではないでしょうか。
この一因として、実際に、目に見えるものがAIによって高機能化している事例が、まだ少ないからであることが挙げられると思います。
本記事では、生活の中に組み込まれたAIの事例と、なぜ近年IoT×AIが注目されているのかについて簡単に解説したいと思います。
1.家の中にあるAI
1-1.スマート炊飯器
炊飯器などで有名なタイガー魔法瓶はスマート炊飯器(圧力IHジャー炊飯器〈炊きたて〉JPA-X100)を販売しています。このスマート炊飯器には、お米の状態や銘柄に応じて、適切な炊き加減を調整する「AI炊き分け機能」が搭載されています。スマートフォン上で動作するTIGER Homeアプリを使うことで、お米の新銘柄にも対応できるように最適な炊き方の情報を逐次更新してくれたり、足りなくなったお米の自動発注までしてくれるとのことです。
この事例では、炊飯器をスマートフォンを経由してインターネットに接続しており、クラウド上で学習したAIを炊飯器にダウンロードします。
すなわち、モノをインターネットに接続するIoTの考え方を利用したAI家電であると言えます。
参考:https://www.tiger.jp/product/ricecooker/JPA-X.html
1-2.COCORO家電
家電メーカーのSHARPは、COCORO+と題して、様々な家電をIoTとAIの考え方に基づいてスマート化しています。例えば、ヘルシオ(スマート電子レンジ)では、操作の音声認識はもちろんのこと、作りたい料理を話すと最適な調理モードを提案してくれます。しかし、料理のレシピは無限大で、使えば使うほど物足りなく感じるもの。
この課題を解決するために、SHAPRはCOCORO KITCHENというクラウドサービスを提供しています。 このクラウドサービスを利用することで、インターネットに接続されたスマート電子レンジは、自動的にレシピ情報などを更新し続けることができます。
スマートエアコンや空気清浄機などの空調家電には、住んでいる地域の空気情報まで分析した上で、最適な空調を行ってくれる機能が搭載されています。当たり前ですが、地域の空気情報は室内で認識できるものではないので、インターネットに接続し情報を取得する必要が出てきます。
このCOCORO+でも、クラウド上に存在するAIを家電にダウンロードすることで、より高品質なサービスを提供しています。つまり、IoTとAIの概念が非常に強く結びついているサービスといえます。
参考:https://cocoroplus.jp.sharp/
2.街の中にあるAI
2-1.KINOKUNIYA Sutto
多数のスーパーマーケットを運営する紀ノ國屋は、KINOKUNIYA Suttoという無人決済型のスーパーマーケットをオープンしました。この無人決済型の店舗では、店内の至るところにカメラが仕掛けられており、「誰が、どこで、何を手にとったか」をAIが認識します。欲しい物を手にとってセルフレジで決済するだけですので、レジ前の行列が発生しにくくなります。忙しい人にはうれしい店舗です。この技術が普及すると、日本のスーパーマーケットに店員さんがいなくなる日が来るかもしれません。
このサービスと類似したサービスとして、米国にAmazon Goという食料品店があります。こちらでは実際に、決済すら顔認識で自動で行ってくれるため、消費者はただ欲しい物を手にとって出ていくだけです。お金を支払うと言う行為を店内で全く行わないので、万引きしている気持ちになってしまうかもしれませんね。
KINOKUNIYA Sutto:https://www.e-kinokuniya.com/store/kinokuniya-sutto/entree-mejiro/
Amazon Go:https://www.amazon.com/b?ie=UTF8&node=16008589011
2-2.AI案内員
最近、全国各地の駅や市役所などにAI案内員が配備されることが増えています。例えば、奈良県 大和西大寺駅ではAI駅員の「アリサ」が、神奈川県藤沢市役所では、案内ロボットの「AYUDA」が配備されています。
デジタルサイネージやタブレット端末などの、バーチャル上に存在する案内員はこれまでも存在しましたが、高齢者やデジタル端末の操作に慣れていない方にとっては利用が難しいという課題がありました。目に見える形でコミュニケーションができるロボットが居ると、そういった課題が改善されるようです。
AI案内員は、モノとして見える形で存在しているロボット、人間の言葉を理解し判断するAI、施設情報を更新するためのインターネットで構成されており、IoTとAIを組み合わせたサービスであるといえます。
アリサ:https://www.lmaga.jp/news/2020/07/137245/
AYUDA:https://robotstart.info/2021/03/23/ayuda-fujisawa-2021.html
3.IoT × AIが普及している理由
以上の事例で見てきたように、IoTとAIの親和性は非常に高いことが分かります。その理由として、IoTの強味と弱味、AIの強みと弱みを考えたときに、お互いがお互いをそれぞれカバーすることができる関係にあることが挙げられます。
例えば、AIは過去の多種多様なデータを基に、あたかも人間のような判断を下すことができます。逆に言えば、その判断基準の全ては過去のデータに依存していることから、十分なデータが集まらなければ、より良いAIは作れません。
モノ(家電や単純なロボットなど)は、世の中のいろいろな場所に存在しており、多種多様なデータを収集するための道具として、非常に優れています。一方で、基本的には最初にプログラムされたことを繰り返すことのみしかできず、サービスとしては物足りない場合もあります。
これらのことから、AIとモノは互いの欠点を補い合うことができ、非常に強いシナジー(相乗効果)を持つと考えられます。
今後ますますIoTとAIの関係は深くなっていき、いろいろなモノにAIが組み込まれるようになるでしょう。
その時には、AIとは何だろう?AIには何ができて、何ができないんだろう?ということは、現代を生きる上で必要な知識(リテラシー)となっているかもしれません。
4.もっと詳しく学びたい方へ
本記事では、AIがモノとの組み合わせによって生活に浸透し、よりよい生活を実現していく様を、様々な例を挙げてご紹介しました。
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【監修】スキルアップAI 取締役CTO 小縣信也
AI指導実績は国内トップクラス。「太陽光発電発電量予測および異常検知」など、多数のAI開発案件を手掛けている。日本ディープラーニング協会主催2018E資格試験 優秀賞受賞、2019#1E資格試験優秀賞受賞。著書「徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集」(インプレス)。
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