Success Stories導入事例
実践的な研修内容で即戦力になる人材を育成
- 研修前の課題・背景
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研修体制の整備が急務だが、社内のAI人材は多忙で研修を行う余裕がない
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最適な研修カリキュラムについてのノウハウが不十分
- 研修後の効果
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ハイレベルなスキルを持つ講師から、充実した研修を受けることができた
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現場ですぐに活かせるスキルが身に付いた
研修のポイント
- どのような人材を、どう育てるために、どんな研修を行うのかをまとめた「研修企画書」を作成
- 研修企画書に沿って研修をカスタマイズ
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研修期間
約2カ月
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研修内容
現場で使えるディープラーニング講座(カスタマイズ版)
AI人材の積極的育成という経営方針に対し、
AI人材育成カリキュラムの策定をすることで貢献
AI人材の積極的育成という経営方針に対し、AI人材育成カリキュラムの策定をすることで貢献
― キヤノンではどのような方針で人材育成を行っているのでしょうか?
キヤノンでは以前より、経営、技術開発、ものづくりなど様々な分野でグローバルに活躍する人材を育成することを目指しています。中でも2018年に設立した「Canon Institute of Software Technology(以下、CIST)」では、新入社員や職種転換を目指す社員の基礎教育から、製品のソフトウェア開発を担当する技術者のスキルアップまで、ソフトウェア教育を体系的かつ継続的な人材育成に取り組んでいます。とくにAI人材の育成には力を入れていて、CISTでの研修には社内各部門から大きな期待が寄せられています。
― 人材育成計画を達成する上で、どのような課題を抱えていましたか?
当社ではカメラやプロジェクタなどの画像技術を活かした製品や、プリンタをはじめとするドキュメントソリューション関連製品を多数展開しています。例えば、社内でもカメラやプリンタへの搭載を目的とした顔検出、表情認識、個人識別などのアルゴリズム開発や、自社技術と画像認識AIを組み合わせたシステム開発など、これまでもAIを製品開発に活かしてきました。これからも当社にとって、AIを活用したソリューションの開発・拡充は不可欠です。
こうした状況から、AIやIoT、クラウドサービスに関する研修を充実させ、AI人材の育成をすることが急務となっていました。ところが社内のAI人材は最先端のプロジェクトに関わっていて多忙を極め、社内研修の講師を行う余裕がありません。
また、AIとひと言でいっても、企画、調達、開発など部門ごとや、画像技術、ドキュメントソリューションなど領域ごとに学ぶべき内容は異なります。例えば企画系ならクラウドのAPIを活用してビジネス開発を行ったり、開発部門なら実際にAIモデリングやアルゴリズムを考えたりする必要があるでしょう。効率的にAI人材を育成するためには、どのような研修カリキュラムを組むのが最適なのか、考えあぐねていました。
そこで外部の専門家や、知人の大学教授などに、AI人材を育成するためにはまずどのような知識を習得すべきかヒアリングを行いました。すると、数学の統計、解析、代数に関する研修から始めるのが良いとわかってきました。
中でも統計学に関しては、当社でもすでに工場の自動化業務などで活用するExcelを中心とした研修カリキュラムがありました。そこで、まず統計に関する既存研修をAI向けに改良するところからはじめ、その後、解析や代数についてもAI向けに変えていくことを考えました。
動画による事前学習と、
実践的なカリキュラム・教材で即戦力スキルが身につく
動画による事前学習と、実践的なカリキュラム・教材で即戦力スキルが身につく
― スキルアップAIを知ったきっかけは?
部署内の様々なメンバーが、AIに関する社外研修を探していたとき、ちょうどスキルアップAIの統計に関する個人向け研修があることを知りました。そこで、当社で「統計学」についての研修講師を務めているメンバーと、R&D部門のデータ解析チームのメンバーから1名ずつ、スキルアップAIの統計に関する研修を受けてもらうことにしました。
実際、スキルアップAIの研修体系を見てみたところ、当社の求めている内容とマッチしていましたし、トライアルで受講した2名からも大変好評でした。実は他にもう一社、AIの研修を展開されている会社と迷っていたのですが、スキルアップAIの研修内容が具体的でより実践的だと感じ、お願いすることにしました。
― 研修カリキュラムを見て、どのような点が魅力的だと感じましたか?
カリキュラムが具体的かつ実践的だったことと、動画などによる事前学習を促す体制が整っていたことです。オリジナルの教材が充実していたことも、決め手の一つとなりました。
私たちは研修を受講したメンバーには実践的なスキルを習得して欲しいと思っていました。また、動画講座などによる事前学習カリキュラムが豊富なスキルアップAIの研修は、社員の成長意欲を高めてくれるとも感じました。
AIの最前線で活躍する講師が作成したオリジナル教材のおかげで、ゼロから教材をつくっていただく必要がなく、既存教材を当社向けにアレンジしていただくだけで研修を始めることができました。
― どのように既存教材をアレンジしましたか?
事前に予習動画の聴講を行ってもらい、36時間の講義と実践的な演習、そして知識テストを組み合わせました。前半はスキルアップAIの開発したオリジナル教材とカリキュラムを実施し、後半は当社の社員が講師となり社内演習を実施いたしました。
講座の頻度は1~2週間に一度のペース。約2カ月かけて受講完了する仕立てにしています。どのような人材を、どう育てるために、どんな研修を行うのかをまとめた「研修企画書」に基づき、「現場で使えるディープラーニング講座」をカスタマイズして作成いただきました。
講座を受講する社員は、様々な事業部門から推薦してもらい、最終的には優先度の高い12名にまずは受講してもらいました。PythonでAIのプログラミングを書いた経験のある人や、ディープラーニングではTensorflow、ブロックチェーンではQURASを使ったことのある人など、AIに関する基礎的な知識とスキルのある社員です。AIでモデリングを行うことはできないものの、本開発の前段階であるPoC(概念実証)レベルは企画できる方々にも受講してもらいました。
今回受講した社員が習得した知識を生かし、現場の中核を担ってもらうことを期待しています。
スキルの高い講師陣により、
AI研修カリキュラムの土台を構築できた
スキルの高い講師陣により、AI研修カリキュラムの土台を構築できた
― 受講した結果、どのような成果が得られましたか?
現場ですぐに活用できる実践的なスキルを身につけられたのではないかと思っています。とくにスキルアップAIは講師の方々の、技術力が高いですね。とはいえレベルの高い講座の良さを最大限生かすためには、当社側で受講生のレベル感を合わせたり、さらに受講前の事前学習を促してボトムアップしたりする必要があります。受講前の目線合わせやさらなる自学の推奨も必要だと感じました。
この講座はE資格相当ですが、今回は資格試験の受験は推奨していません。ただ、今後は、資格を持っている社員を優先的に最先端技術に関するプロジェクトに参画できるようにするなど、社員のモチベーション醸成にもつなげていきたいと考えています。
― 今後の展望は?
全社員のITリテラシーを高め、DXを推進していきたいと考えています。TableauなどのBIツールや、データアナリティクス、データサイエンスを取り入れるなどして、社内全体の業務改善を行っていきたいですね。
キヤノンは「共生」という企業理念のもと、社会の安心安全に貢献すべく、医療や監視カメラなどのソリューション開発にも力を入れています。またマルチプラットフォーム、マルチクラウドのコンシューマビジネスも手掛けていこうとしていますので、それらに貢献する人材を育成していければと思っています。
(お話を伺った方)
キヤノン株式会社
人事本部 人材・組織開発センター 技術人材開発部 主席 岡部哲夫様
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