Success Stories導入事例
全社一丸で次世代IT人材育成のための研修を実施
- 研修前の課題・背景
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AI技術に対する理解と実践スキルの不足
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新技術の導入と活用に対する抵抗
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社内でのAI人材の育成が急務
- 研修後の効果
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E資格取得者の増加
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社内のAIプロジェクト推進力向上
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AI技術の実務活用能力の向上
研修のポイント
- E資格取得に向けた集中講座
- 実務に即した演習と応用
- オンライン形式で全国の支店から受講可能
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対象者
技術本部のエンジニア、プロジェクトリーダー、各部署の推薦社員
多くの企業が持っていた、AIの活用法が分からないという悩み
― 皆さんの所属されている部署と主な業務を教えてください。
竹村様:
私は技術本部に所属していまして、開発部門や営業部門などの他部署に対して技術的な面での支援全般を手がけています。社員教育の取りまとめにも携わっており、今回のE資格(※1)の取得に対してスキルアップAIに研修を依頼しました。
(※1)JDLA(一般社団法人日本ディープラーニング協会)が実施するAIに関する資格。英語表記は「Deep Learning for ENGINEER」。
山下様:
技術本部技術推進部の山下です。普段の業務では社内の新技術の開発から利用推進、竹村と同じく社員教育も手がけています。今メインで進めているのは、自社プロダクトの開発推進です。これは当社のホームページにも載っていますが、指針メーターなどのアナログメーターをカメラで撮影して読み取るシステムを開発しています。
大河原様:
管理本部人事部人材開発室に所属している大河原です。業務内容は主に採用活動と、社員研修の事務局を担っています。技術研修以外にも、会社の研修全般の企画運営などを行っています。
― 御社の業務概要について教えてください。
竹村様:
当社はTCSグループの一社で、首都圏や名阪、群馬や信越に拠点を持つITソリューションの企業で来年40周年を迎えます。主な業務として生産管理システムや官公庁向けの情報システムの構築、ヘルスケアシステムの開発などが挙げられます。
数年前からは自社プロダクトを手掛けていて、先ほど山下が申し上げたアナログメーターを画像で数値化するシステムやIoTスターターキットの開発の他、データ分析のサービスも請け負っています。
― 御社にAIやデータ分析に長けた方は何名ほど在籍していますか?
竹村様:
当初はほぼ一人でしたが、今は社内にDX推進部門を立ち上げて10名ほどが在籍しており、機械学習に精通した人材を育成中です。その部門とは別にR&D部門もあり、そこにAIのスペシャリストである平田 俊明という情報工学の技術士がいます。平田自身も人材育成に熱心で、AIスキルを上げるための内部研修を行っています。
― ここ数年で業種を問わずAIやDXの波が押し寄せていますが、どのように見ていますか?
竹村様:
自社プロダクトを展示会に出展すると多くの企業と交流する機会がありますが、大小問わずデータやAIの活用について悩みを抱えている企業が多い印象です。実際にどんなことができるのかはやってみないと分からないということで、小規模でもPoC(Proof of Concept:概念実証)みたいな形で進めてどんな効果があるのか試してみたい、という要望を多く聞きます。
― クライアントの悩みを解決するために、御社のAIに対する取り組みが始まったということでしょうか?
竹村様:
そうですね。最初の取り組みは振動データから機械の故障予知ができるシステムを開発したことでした。機械故障の予測をしたいというお客様からの相談を受け、PoCから始めて実際に製品化までこぎ着けました。これが一つの出発点になっています。
実績と知名度のあるE資格を取得して、会社としての強みを伸ばす
― 会社としてE資格の取得に力を入れるようになったきっかけを教えてください。
竹村様:
社員にはっきりと目に見えるAIの資格を取らせることで会社の強みにしていこうと。AIの資格にはどんな種類があるのか調べていく中でE資格が実績と知名度を考えて一番だろうということで、社を挙げて取得することになりました。もちろんそれなりに費用はかかりますが、そこにきちんと投資して内外に示せる資格を取っていこうという経営陣も含めた判断です。
― 受講者の選定はどのように進めたのでしょうか?
竹村様:
事業部や部門ごとに募集をかけました。また、可能性がありそうな社員は推薦の形式も取っています。
― E資格を取得するにあたり、スキルアップAIのプログラムを選択された理由を教えてください。
竹村様:
E資格の受験にはJDLA認定プログラム(※2)の受講が必須でしたのでいろいろ調べ、認定プログラム第1号だったスキルアップAIに決めました。我々は支店が各地にあるのでオンラインで受講できることも大きなポイントでした。
(※2)JDLAが実施するE資格の受験資格を得るために必要となる教育プログラム。
業務の合間を縫い、月80時間を受講に費やす
― 実際にプログラムを受講した山下さんに伺います。勉強時間の確保はどのように行っていましたか。
山下様:
基本的に受講は業務時間内に行っていました。2月の受験に向けて前年の8月頃から月間80時間を割いて取り組み始めました。
― 月80時間となると、一ヶ月の業務時間の半分ほどを当てる計算ですね。
山下様:
最初は多すぎたかなと感じるときもありましたが、後半は業務が忙しくて予定どおりには受講が進まなかったので、実際はギリギリなんとか終了できたという感じでした。
― 実際に勉強をしてみて、難易度はいかがでしたか?
山下様:
AIの基礎知識としてはG検定(※3)ぐらいのレベルでした。Pythonはある程度触っていたので、問題無く進めることができました。苦労したのは数学の理論についてです。大学は情報工学部だったので数学理論については勉強したのですが、なかなか思い出せずに苦労しました。ML(Machine Leaning:機械学習)と DL(Deep Leaning:深層学習)についても理論的なところが難しかったですね。
(※3)E資格と同じJDLAが実施するAIに関する資格。受験に当たっての制限は特になく、誰でも受験可能。
― 山下さん以外の受講者の皆さんも、ある程度の基礎知識、バックボーンのある方だったのでしょうか?
山下様:
募集の条件として特にそういった条件は設けてないので、まったく基礎知識のない者もいます。私の同じ部署に現在E資格の取得を目指している者がいますが、文系出身でプログラムを始めて3年目ぐらいです。なかなか苦労しているようですので、うまくサポートしていきたいです。
― 2月の試験に向けて前年の8月頃からプログラムの受講を始めたということで、準備期間は大体半年ほどですね。この半年という準備期間は何かを目安に決めたのでしょうか?
竹村様:
当初は、8月と2月の年2回の受験を考えていました。でも、実際にスタートさせるとぜんぜん時間が足りなかった。業務の合間に受講するとなると本当にギリギリで。そこで年1回、2月の受験だけにして半年間の準備期間を設けることにしました。現在はもう少しスタートを前倒しにして、7月頃から受講できるように進めています。
AI人材が新しい事業領域を生み出す
― E資格を取得してから身につけた知識で、実際に業務に反映できたものはありますか?
山下様:
E資格に合格したことで、AIで実現可能なことや、実際にAIを活用するにはどのような工程が必要なのかといったことが具体的にイメージできるようになりました。展示会などのイベントでお客様とお話しする中でいろいろなニーズに触れますが、そのニーズはAIによりどの程度実現可能なのか、より的確な返答ができるようになりました。当社のプロダクトはお客様の要望に合わせてカスタマイズをして提案しますので、非常に役立っています。
例えば、今社内で開発を進めている、機械の水漏れをカメラの画像から検知するシステムなどは、実際のお客様のニーズを反映して開発がスタートしたプロダクトです。
― 山下さん個人は、E資格を取得してからの変化はありますか?技術面以外の変化があれば教えてください。
山下様:
E資格を取ることで身につけた知識がなければ、お客様からいただく多様な要望に対して具体的な解決策は提案できなかったと思うので、一つ大きな自信にはなりましたね。見識が増えることで単純に自信につながりました。
― 現在、御社では何名がE資格に合格されているのでしょうか?
竹村様:
今のところ9名です。もちろんこれからも合格者を増やしていこうと、鋭意努力しています。
― 営業や管理部門系の方に向けたAIの基礎教育は行っているのでしょうか?基本的な知識があれば、それぞれの業務にも活かせると思います。
大河原様:
数年ほど前から管理部門を含めた若い社員に向けて、AIやデータ分析の入門レベルの講座を開いています。全五回ほどの内容ですが、この受講をきっかけにして自主的にG検定を取得した社員もいます。意識付けという意味では、大きな意味があるかと思います。
― 合格者が増えていくことで、社内にどのような変化が生まれると感じていますか?
山下様:
AI用語が共通言語として社内で使われるようになっていけば、事業所同士の連携が取れるようになって、より質の高いプロダクトが開発できると考えています。
― 今後の御社の事業展開について教えてください。AIだけに限らず、どのようなソリューションを提供していく予定なのか、事業戦略も踏まえて教えていただければ。
竹村様:
現在、中期的な経営計画を考えているのですが、そこで事業領域改革・事業モデル改革・技術改革・風土改革という四つの改革を推進しているところです。中でも特にAIやデータ分析に強い人材が新しい事業領域を創出していくと思うので、これからもその数を増やしていく考えです。
会社がそういった目的で社員をサポートしている姿勢を見せることで、技術的な面だけでなく風土改革の面でもプラスの影響が生まれると考えています。これからも社を挙げてAI教育を推進していきます。
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