導入事例
社内でAIノウハウを持ち、人材育成が担える必要があった
― 品質管理部と先端技術部はどのような業務を担っているのでしょうか。
武知様:
品質管理部では、サントリーグループの業務効率化のためのシステム開発・運用を支える標準化や、社員のスキル向上のための研修の企画・運営を行なっています。研修にはAIに関するものもあり、AI研修に関しては先端技術部と連携して運営しています。
野島様:
先端技術部は、会社に新しい技術を取り入れて業務に活かす仕組みを作る部署です。現在は主にAIを用いて、いかに会社の業務に活用をしていくのか、目利きするのが私たちの主な役割です。AIを使った業務効率化を図ると同時に、会社として新しい価値を生み出すのにもAIを活用していこうと考えています。
2017年からは、実際に商品などの生産計画に対してAIを適用する取り組みを進めています。例えば、ある商品を作るのに、どの場所の工場で生産すれば最も費用が安いのか、どのルートで運べば物流費が安いのか、コストメリットの算出でAIを活用しています。
― AI研修を取り入れることにした背景を教えてください。

武知様:
私たちは様々な研修を導入していますが、先端技術の研修を取り入れてさらなるレベルアップを図ろうという取り組みをここ2、3年強化をしています。
2019年度は特にAI研修に力を入れようと考えていて、どのように実施するか検討しているところでした。
― 元々AIに対する課題を感じられていたのでしょうか。
野島様:
はい、AIの領域は他の会社に業務を依頼していることもあって、社内にノウハウが溜まりにくいです。ノウハウを蓄積するためには、やはり社内のAIリテラシー向上が必須だと思いました。AIリテラシーが向上すれば、AIを的確に活用した商品作りなど実際に業務に適用することができる。消費者は常によりよい商品を求めているので、AIを活用してお客様のニーズに応えられる商品開発を進めていきたいと考えていました。
また、社員が正しくAIを理解していないと現場レベルでプロジェクトを進めていくのが難しいという課題感もありました。社員のAIへのイメージは人それぞれ。人間の仕事を全部代替してくれるツールだと思う人もいれば、世間が騒いでいるだけでAIなんて全然使えないと思っている人もいます。こうしたAIに対する認識のズレを直さないと意味のあるPoC(Proof of Concept:概念実証)ができない。現段階でAIはあくまでも人間の補助で、最終的な決定は人間がする。このことを理解してもらって、初めて効果的な検証が出来ると思ったのです。意味のあるPoCができるからこそ、実業務に適用できると考えていたので、AIの知識を上げる活動が必要だと感じていました。
もう一点、AIリテラシーが高い人材を採用することは難易度が高いので、自社で育成を行う必要性があるという点も大きいです。グループ内のAIスキルの底上げに向けて、迅速・柔軟・安価に当社に適したコンテンツで研修を行うために、内部講師による研修実施ができる状態を目指しました。
元々、弊社では個人のスキルアップを推奨していて、勤務時間の5%は自己啓発のために使ってもいい制度があり、費用は基本会社が持つ仕組みです。上記のような課題感があり、社員が効果的に学べるAI研修プログラムを導入しようと、いくつかのAI教育事業者を比較検討しました。
地に足がつき、更新性が高い研修カリキュラムが決め手
― スキルアップAIの研修に決めた理由を教えてください。

武知様:
一番の決め手は、スキル習得のための研修カリキュラムがしっかり見えたことです。スキルアップAIのプログラムは、スキルの体系と研修体系が明確になっており、例えばジェネラリストを目指すならこのスキルをこの順番で取得すればよい、エンジニアであればここまで必要、などの違いがクリアであったため、学習イメージが持ちやすかったです。
また、スキルアップAIが日本ディープラーニング協会(JDLA)の認定プログラム第1号で、E資格合格者の輩出が多く、合格率が高かったことも大きいです。世間的にAIの研修プログラムは歴史が浅い中、しっかり地に足がついているノウハウやカリキュラムを持っていると思いました。
研修で使うテキストや講義内容が随時アップデートしていくのも魅力的でしたね。AIの技術は進歩のスピードが速く、日々の情報更新が大切だと思うので、ソフトウェアのようにアップデートしてくれるのはありがたいです。
野島様:
研修を継続していく上で条件の一つとしていたのは、講師の内製化です。先端技術部の自社事業に精通した人材がAI講師を担うことで、通常の法人研修より低コストで、実務的なAI人材を早く多く育成したいと考えたからです。スキルアップAIは講師の内製化も支援してくれて、教材もライセンス提供、講師の育成にも関わってもらえます。それも採用の決め手になりました。
最適なAI学習へのこだわり。社内実装に至ったケースも
― 研修はどのように進めていきましたか?
武知様:
まず、2019年7月に58名がAIジェネラリスト基礎講座を受講しました。その後、7月末から8月上旬にかけて19名が現場で使える機械学習・データ分析基礎講座を受講。9月に社内(先端技術部)講師による研修として、スキルアップAIからテキストのライセンス提供と事前の講師トレーニングを受けて実施し、52名が受講しました。
スキルアップAIは研修のカスタマイズが得意と言うことで、私たちの日程条件に合わせて調整してもらえたのはありがたかったですね。カスタマイズしても受講者の得られる知識が一定なのはすごいと思いました。予習動画も7月の時と9月の時では内容が違うんです。予習動画までアップデートするのには驚きました。
講座で使った冊子についても、300ページ以上のボリュームでしたが、要点がわかりやすくまとめられていて、重苦しい感じはありませんでしたね。
― 実際に講義を受けてみて、いかがでしたか?
武知様:
講義を通じて感じたのは、スキルアップAIは、AIというコンテンツを届けることに終始せず、AI学習の最適な在り方について持論を持って追究していること。それが実際のプログラムに落とし込まれているな、ということです。
一般的な講義では単純にスライドの文字を読み上げるだけになってしまうことが多いですが、スキルアップAIの講義は、スライドだけでなく、ホワイトボードも使っています。ホワイトボードに重要なキーワードを書くとき、どれくらいのスピードで書くかまで拘っていたんです。ここまでやる教育事業者はいませんし、こうした配慮にとても好感が持てました。
野島様:
印象的なこととして、研修の中で、「このAIはどんなシーンで使えるか」を考えるグループワークがありました。その中で出た意見に、今までサントリーグループで取り入れていないものがありました。講師が「似たような取り組みをしている会社がある」と言ってくれたので、「せっかくこのような良い意見がでたので、実際にやってみよう」となり、新しい取り組みとしてトライしています。
実際に講義を受けてみて、内容や進め方に効果を感じていたので、次のフェーズとして、複数年のライセンス契約によって、講師を内製化するステップに進むことになりました。
(お話を伺った方)
取締役 品質管理部長 武知 栄治様
品質管理部マネージャー 長谷川 壽延様
先端技術部長 野島 達也様
先端技術部 中川 要様
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